- 著者
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平野 聖
- 出版者
- 川崎医療福祉大学
- 雑誌
- 川崎医療福祉学会誌 (ISSN:09174605)
- 巻号頁・発行日
- vol.20, no.2, pp.481-493, 2011
昭和後期は我が国扇風機の成熟期に相当し,普及率が伸び悩む状態となった時代である.三菱電機において市場を喚起する役割を担ったのが,「扇風機のコンパクト化」に関する提案であった.扇風機を分解梱包し,使用しない時にはコンパクトに保管できるアイデアを「コンパック」とネーミングし消費者に大いにアピールした.扇風機本体の形状を変化させる工夫を施しさらにコンパクトにするアイデアは継続的に研究され,「オレオレ」として花開く.他社がスイッチ部の電子コントロール等の開発に血道を上げている間に,同社はダイナミックな外観の変化を優先することにより差異化を図った.昭和末期には頭部後半部に突出部を持たない「バックレスファン」を登場させ,それまでの扇風機の概念を覆すスマートな外観を実現した.ただし,それ以降は扇風機製造の拠点をタイに移し,技術開発及びドラスチックな新規デザイン開発が段々と行われなくなる.