著者
福井 佑介
出版者
日本図書館研究会
雑誌
図書館界 (ISSN:00409669)
巻号頁・発行日
vol.62, no.5, pp.334-347, 2011-01-01

本論文は,熊取図書館相互貸借拒否事件に関する大阪地裁判決を取り上げたものである。地方自治法上の「公の施設」や,船橋市西図書館蔵書廃棄事件に関する最高裁判決で判示された「公的な場」といった法的概念を用いて,当該地裁判決の判例上の位置付けを整理した。その上で,相互貸借制度を中心に据え,当該地裁判決の意義について考察した。そして,公的な場を,相互貸借で結びついた公立図書館総体としての公的な場へと変容させるという意義を有しているとの結論を得た。また,当該地裁判決を基にした相互貸借の運用についても示した。

言及状況

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あらゆる相互貸借申込を断われないということではないが、岐阜県図書館が所蔵しており、(費用負担なく)相互貸借が可能であるため、熊取町立図書館相互貸借拒否事件と同様違法となり得る。 https://t.co/PeNIaB9eCx https://t.co/7Ur7PvEj2c
相互貸借について利用者の権利性を認めた「熊取町立熊取図書館相互貸借拒否事件」は、裁量権の否定であって、自館で提供していない資料や郵送コストが支払えない場合等の公平(一律)な制限は是認されるだろうというのが私見。 https://t.co/w0GCny7kCC

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