著者
平野 大輔 藤岡 崇 谷口 敬道
出版者
国際医療福祉大学
雑誌
国際医療福祉大学紀要 (ISSN:13424661)
巻号頁・発行日
vol.16, no.1, pp.34-46, 2011-08-31

機能的近赤外分光法(functional near-infrared spectroscopy; fNIRS)は,近赤外光を用いた非侵襲的脳機能計測法であり,大脳皮質の神経活動に伴って変化する局所的な脳血流の変化を計測する技術である。この技術は,他の脳機能計測法に比べ時間分解能や空間分解能において格段に優れているわけではないが,安全性や低拘束性,可搬性の高さなどの特徴を有する。これらの特徴は,様々な対象の日常的な環境下における作業時の脳活動の計測を可能にする。対象が幅広く実施環境が多岐にわたるリハビリテーションにおいて,本技術を用い得られた知見は評価や介入の方針および手段の検討,効果判断の際に有益な示唆をもたらしてきた。他方,fNIRSにおいては統一された計測法や分析法が存在しないため,使用者はこの技術について熟知し正しく解析を行う必要がある。本稿においては,これまで発表されてきた論文を基に,fNIRSの歴史や原理,解析などを概説し,リハビリテーション実践過程におけるfNIRSの有用性と今後の展望について述べる。

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