著者
平澤 紀子 小笠原 恵
出版者
日本特殊教育学会
雑誌
特殊教育学研究 (ISSN:03873374)
巻号頁・発行日
vol.48, no.2, pp.157-166, 2010
被引用文献数
3

本研究は、行動問題を示す人々への支援アプローチである積極的行動支援の進展と課題について、生活の向上という観点から検討した。Journal of Positive Behavior Interventionsの1999年から2008年までに掲載された支援研究65件について、積極的行動支援の目指す10のテーマをもとに分析した。その結果、発達障害のある個人だけでなく、児童生徒集団も含み、生活場面において適応行動を支援することで、行動問題の解決や予防をねらう研究が多く取り組まれ、その効果評価は適応行動が中心であった。一方、こうした支援はおもに行動問題の行動随伴性に基づいており、生活場面の文脈に基づく支援の開発や支援がもたらす生活の向上および環境の改善に関する評価は少なかった。結果から、支援対象となる新たな適応行動の行動随伴性への焦点が不足していることを指摘した。今後の研究として、新たな適応行動の行動随伴性が生じるための環境条件や環境構築の分析に基づいた支援の開発、生活場面を構成する人々に関する行動随伴性の開発、循環的な環境の拡大に関する検討を挙げた。

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【生活の向上を目指した積極的行動支援の進展と課題】平澤紀子先生、小笠原恵先生のレビュー論文。行動問題への介入に際して、適応行動の随伴性が生じやすい環境の構築や、支援者の行動随伴性の開発の重要性を指摘している。https://t.co/wmVGQLVi1H
【生活の向上を目指した積極的行動支援の進展と課題】平澤紀子先生、小笠原恵先生のレビュー論文。行動問題への介入に際して、適応行動の随伴性が生じやすい環境の構築や、支援者の行動随伴性の開発の重要性を指摘している。https://t.co/wmVGQLVi1H

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