- 著者
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中里 理子
- 出版者
- 上越教育大学
- 雑誌
- 上越教育大学研究紀要 (ISSN:09158162)
- 巻号頁・発行日
- vol.30, pp.167-176, 2011-02-28
平家物語諸本のうち、古態を残すと言われる延慶本を対象にオノマトペを抽出し、その特徴を整理した。一般にオノマトペは和語のオノマトペ(和語系オノマトペ)を指すが、本稿では漢語由来のもの(漢語系オノマトペ)も取り上げ、比較しながら特徴を見た。延べ語数は和語系の方が多く、異なり語数は漢語系の方が多い。和語系のオノマトペの特徴は、まず、擬音語は延べ語数で擬態語を上回っており、弓矢、刀、軍勢の動きなど、合戦に関する語が多く表現が固定化する傾向が見られた。また、擬態語は泣く様子、人物の素早い動作や力強い動作を表す語が多い。漢語系オノマトペの特徴は、まず、「音の描写」は絃、雨、風の音の3種に限られていた。また擬態語は自然描写に関する語が多く、心情描写とともに、和語系オノマトペに足りない部分を補っていたことが窺われる。