- 著者
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吉田 博則
脇山 真治
- 出版者
- 芸術工学会
- 雑誌
- 芸術工学会誌 (ISSN:13423061)
- 巻号頁・発行日
- no.54, pp.129-136, 2010-11-10
TV-CMを構成するショットは、大きく2つに分けられる。ストーリー要素と商品関連要素である。ストーリー要素には、状況設定、ドラマ展開、登場人物、シナリオ、会話、ナレーション、音楽などがある。商品関連要素には、商品の外観、商品ラベル部分、商品の中身、商品機能イメージ、商品の使用場面、商品効果表現、商品ディスプレイショット、商品名台詞ナレーション、商品名音楽などがある。本研究の目的は、TV-CMのストーリー要素が、商品好感度に与える影響を検証することにある。本研究において、ストーリー要素を構成するショットを、ストーリー関連ショットと呼ぶ。本研究の実験では既存のTV-CMコンテンツは使わず、ストーリー関連ショットと商品外観映像をつないだ短い実験映像を制作して用いた。(1)人物から商品へ。(2)食事から商品へ。(3)動物から商品へ。いずれも商品には、無意味なカタカナ2文字の商品名が記されている。ストーリー関連ショット(0.5秒)と商品外観映像(1秒)がオーバーラップ(1秒)によってつながっている。オーバーラップ(略称O.L)とは、前者から後者へ画面が全体で変化していく場面転換のことである。[figure]前者の人物群(現場監督、ビジネスマン、ジョガー)、食事群(カレー、ハンバーガー、サラダ)、動物群(犬、猫、アヒル)は、いずれもTV-CMに登場する機会が多い構成要素である。これらの材料をもとに、認知心理学に基づく嗜好テストを実施した。このようなストーリー関連ショットに対する印象が、後続する商品外観映像の商品好感度に影響するのであろうか。そもそもこの両者に因果関係があるのだろうか。商品好感度を高める要因について、実験する目的や比較する要素を限定て一定のし指針をだすことができればと考えた。