著者
田口 東
出版者
公益社団法人日本オペレーションズ・リサーチ学会
雑誌
オペレーションズ・リサーチ : 経営の科学 (ISSN:00303674)
巻号頁・発行日
vol.56, no.12, pp.720-723, 2011-12-01

東日本大震災後の電力節減に対応するために,首都圏鉄道では運転本数が削減され激しい混雑が生じた.公共交通機関というだけあって,利用者はストレスなく路線を乗り継いでいる.一方,乗客の流れとそれを運んでいる電車の運行を,事業者単位では把握しているが,ネットワーク全体でみるという視点が平常時から欠けている.混雑を和らげる決め手は分散乗車である.ここでは,ネットワーク全体を対象として,分散乗車の詳細なシミュレーションを行い,その効果が実現目標として提示できることを示す.これは,各事業者が閉じた計画を立てたのでは,利用状況への影響が十分把握できず,偏った利用者負担による不公平感が生ずる可能性があること,事業者ごとの電力削減目標を基にした運転計画を総合してネットワーク全体の混雑を計算し,削減目標を調整するというプロセスが必要であると考えるからである.

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