- 著者
-
木曽 陽子
- 出版者
- 日本保育学会
- 雑誌
- 保育学研究 (ISSN:13409808)
- 巻号頁・発行日
- vol.49, no.2, pp.200-211, 2011-12-25
本研究の目的は,「気になる子ども」の保護者との関係の中で現れる保育士の困り感に着目し,その変容プロセスを明らかにすることであった。そこで,公立保育所の保育士5名に半構造化面接を行い,修正版グラウンデッド・セオリー・アプローチにより分析を行った。分析の結果,以下の3点がこのプロセスの特徴として明らかになった。第1に,「気になる子ども」の保護者に関わる際に,保育士は<"子どものため"の思いの基盤>を常に持ち合わせていた。第2に,<保護者との思いの対立>という経験を経て,保育士の働きかけが<"子どものため"に理解を求める>から<保護者に合わせる>へ変わっていた。第3に,<保護者に合わせる>関わりに変わっても,保育士は<"子どものため"の思いの基盤>とく保護者に合わせる>の間に葛藤を抱いていた。