著者
住岡 敏弘
出版者
宮崎公立大学
雑誌
宮崎公立大学人文学部紀要 (ISSN:13403613)
巻号頁・発行日
vol.19, no.1, pp.243-256, 2012-03-02

人格教育をめぐる政策としては、「人格教育における連携事業」(Partnership in Character Education Project)が有名である。この事業は、1994年に、クリントン政権のもとで成立した『アメリカ学校改善法』(Improving America's Schools Act)のなかで規定され、人格教育プロジェクトについて州政府に対する補助金規定が盛り込まれた。その後、ブッシュ政権のもとで2002年に成立した『落ちこぼれ防止法』(No Child Left Behind Act)においてもこの事業は引き継がれ今日に至っている。しかし、「人格教育における連携事業」創設以前にも、連邦政府は既に人格教育に対する補助金事業を行っていた。1981年10月には、『シティズンシップの原理の教授に教育分野の包括補助金を使用する権限を付与する法律(An Act to authorize the use of education block grant funds to teach the principles of citizenship)(PL97-313)』が成立し、レーガン政権下での『初等中等教育法』の改正法である『1981年教育統合改善法(Education Consolidation and Improvement Act of 1981)』チャプター2の包括補助金から、シティズンシップ教育プログラムの改善に対して補助金が支出することが可能になったのである。この規定にもとづき、人格教育プログラムの改善にも連邦資金が使われてきたのである。本論では、シティズンシップ教育に対する連邦政府の公的関与に対する本格的な分析の前段階として、同法成立に向け連邦議会で提出された法案ならび公聴会での論議についての確認を行った。

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