- 著者
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小野 奈生子
- 出版者
- 共栄大学
- 雑誌
- 共栄大学研究論集 (ISSN:13480596)
- 巻号頁・発行日
- vol.10, pp.235-254, 2012-03-15
本稿の目的は、H.Sacks の提示する「推論実行機械」という分析概念を利用して、小さき存在が〈児童〉になっていく学校的社会化過程の一端を明らかにすることにある。入学後間もない小学校1 年生の教室では、学校でのふるまい方に関して、時に冗長的にさえ感じられるほど細かい説明がなされる様子が観察される。しかしそこで教師によって提示される出来事の系列や使用される人物カテゴリーを詳細に検討・分析すると、そうした実践こそが子どもたちが〈児童〉になっていくため、つまり後の学校生活に適応し、学校の一成員となっていくための第一歩として効果的かつ不可欠なものであることが確認できる。本稿を通じて、学校における一見日常的な相互行為の積み重ねこそが学校的社会化過程を構成していることが示唆される。