著者
宣 賢奎
出版者
共栄大学
雑誌
共栄大学研究論集 (ISSN:13480596)
巻号頁・発行日
vol.8, pp.1-18, 2010-03-31

本研究は、日本、ドイツ、韓国の3 か国における介護保険制度創設の背景、導入過程、内容などについて比較考察したものである。比較考察の結果、日本はドイツに学び、韓国はドイツと日本に学んで介護保険制度をつくりあげたことが明らかになった。そのため、3 か国の制度には類似点が多いが、自国の実情に応じた制度に修正して制度を運用しているため、相違点も多くみられた。今後、互いの制度を学び合うことによって、各国の制度の客観的な評価と見直しの材料にするとともに、3 か国の介護保険制度が介護保険の国際化に貢献することを願う。
著者
原田 清
出版者
共栄大学
雑誌
共栄大学研究論集 (ISSN:13480596)
巻号頁・発行日
vol.8, pp.67-77, 2010-03-31

ドイツ連邦議会は、「原発は予測不能な損害を生ずる決定的なリスクがあるため、誰でもがその責任を負うことができない」として、原子力発電への利用を終了させることを決めた。一方、日本は地震国で海溝型巨大地震は周期的に起こると高い確率で予測しているにもかかわらず、その震源の真上に浜岡原発を稼働させている。この両国の違いは何であろうか。日本は、国民に対する最悪のリスクを回避しようとしていない。これは、政府、電力会社、マスコミなどの組織的な国民に対する欺きである。国家が壊滅状態となることを無視し、国民への議論を退け思考の空白をつくっている。かつて日本軍が戦争を起こした組織的な倫理観の欠如のようなものであると思える。ドイツ人に比べ日本人には組織になると倫理観の欠如という不幸な体質があると考える。
著者
山田 耕生
出版者
共栄大学
雑誌
共栄大学研究論集 (ISSN:13480596)
巻号頁・発行日
vol.7, pp.107-121, 2009-03-31

本稿では、浦和レッズとその本拠地であるさいたま市浦和地域(旧浦和市)を事例に、プロサッカークラブの発足に伴う「サッカーのまち」の変遷を明らかにした。浦和地域では1960年代から70年代にかけての約20年間の地元高校サッカー部による数々の全国優勝によって「サッカーのまち」としての認識が形成された。1993年に開幕したJリーグ以降は、行政、商店街などにより、サッカーのまちづくりが進められた。2000年代に入ると、浦和レッズも本格的に地域貢献活動に取り組むようになった。このように、Jリーグ開幕時からサッカーのまちづくりが着々と進展した要因は、地域住民の「サッカーのまち」としての認識やアイデンティティがあるためである。さらに、浦和レッズの地域貢献活動は本業のサッカーの強化には繋がらないが、結果として浦和レッズがさらに地域へ受け入れられるものになり、さらには浦和地域の「サッカーのまち」づくりが一層進んでいくものと考えられる。
著者
田中 卓也
出版者
共栄大学
雑誌
共栄大学研究論集 (ISSN:13480596)
巻号頁・発行日
vol.12, pp.145-170, 2014-03-31

1925(大正 14)年に集英社は、老舗出版社であった小学館の「娯楽雑誌部門」として分離独立した。翌年に正式独立し、「明るく楽しい少年少女雑誌」をキャッチフレーズとして、これまでに多くの雑誌を発刊した 1)。戦後になり同誌は、おもに就学前の児童から小学校児童の男子・女子に購読されていた。誌面は戦前から存在した「小説」、「物語」のほかに、マンガ、スポーツ記事や読者投稿欄なども設けられ、読者等の多くに‶娯楽"の雰囲気を提供した。読者らが集った投稿欄は "文ちゃんクラブ" とよばれ、愛読者にも人気を博した。そこに集うことで読者らは、(編集)記者と交流を図ることや、愛読者仲間を見つけ出す機会となった。またマンガの主人公や、スポーツ選手等に憧憬し、読者等のなかには次第に"ヒーロー像"が確立されることになった。 かくして『おもしろブック』は、集英社より戦後の児童雑誌の転換期に登場し、児童読者の興味・関心が分化する流れの中で、対応することに迫られた。しかしながらテレビの放映開始、マンガの流行等大きな波が押し寄せる中で、幾度か誌面構成を変更することも余儀なくされた。しかしながら編集部は読者のことを最後まで忘れなかった。同誌は発刊後 10 数年間にわたり役割を果たし、次世代雑誌『少年ブック』にバトンを渡すことになる 2)。
著者
神末 武彦 加藤 彰
出版者
共栄大学
雑誌
共栄大学研究論集 (ISSN:13480596)
巻号頁・発行日
vol.12, pp.101-118, 2014-03-31

2011 年に宮古空港にスカイマークが低価格運賃戦略を持って就航した。それまで既存の日本トランスオーシャン航空と全日本空輸の2 つの航空会社で高留まり傾向にあった航空運賃がこれを機に下落して低運賃競争に転じ、熾烈な戦いが繰り広げられるところとなった。この地域の入域者はほぼ航空輸送に頼っており、那覇・宮古の航空路線を検証することによって、運賃の低価格化が宮古島への航空需要喚起と観光客を増加させ、それら観光客がもたらす宮古島への経済波及効果が高まり地域経済の活性化をもたらしたのかを検証することができる。スカイマークの参入により航空機を利用する人数は総体で増加したものの、宮古地域に入域者する観光客数と経済波及効果について大きく影響したとはいえない。これらを検証するため、沖縄県、宮古島市や航空会社から集めた実績や予測と担当者へのインタビューを通して、総合的に集約・分析して研究をまとめた。
著者
中村 哲也 丸山 敦史 矢野 佑樹 Tetsuya Nakamura Maruyama Atsushi Yano Yuki 共栄大学 千葉大学 スウェーデン農業科学大学
出版者
共栄大学国際経営学部
雑誌
共栄大学研究論集 (ISSN:1880859X)
巻号頁・発行日
no.7, pp.89-106, 2009
被引用文献数
1

本稿では、栃木産にっこりととちおとめが、香港やバンコクの如何なる購買層に評価されるのか、プロビットモデルを推計し、考察した。分析の結果、下記の諸点が明らかにされた。まず、香港・バンコクにおける国産ナシ品種と国産イチゴ品種の認知度は非常に低かった。今後、栃木産にっこりととちおとめを輸出する際は、輸出専用パッケージ等による品種のイメージアップを図る必要があるだろう。そして、とちおとめは香港では大きさが、バンコクでは香りが評価された。そして、にっこりは中高年層に、とちおとめは女性に評価が高かった。最後に、香港でのにっこりの価格は中国産ナシの4倍、バンコクでのとちおとめの価格はタイ産イチゴの7倍の価格差があった。そして、香港ではにっこりは8割弱が、とちおとめも7割弱が、調査当日の小売価格または若干高くても購入するという回答が得られた。ただし、バンコクでは8割弱が、調査当日の店頭小売価格ならば購入しないという結果となった。そして、プロビットモデルの推計結果から判断するならば、今後の香港でのとちおとめ輸出は、中高年層をターゲットとし、食味評価の高い女性を如何に購買層に取り入れるかが輸出拡大のカギとなるだろう。
著者
中村 哲也 丸山 敦史 矢野 佑樹
出版者
共栄大学
雑誌
共栄大学研究論集 (ISSN:13480596)
巻号頁・発行日
vol.10, pp.63-79, 2012-03-15

本稿では、葉取らず、無袋、有袋といった3 つの栽培リンゴについて、色、糖度、価格を消費者に評価してもらい、総合的に比較検討した。その結果、葉取らずの糖度、有袋の色づきの評価は非常に高かった。色づき・甘さとも評価された無袋秋星・北斗・シナノスイート等の中生種は甘さと価格の相関が、有袋ふじ・むつ等は色づきと甘さの相関が確認された。そして一般的に色づきや糖度を評価するのは高齢者や高所得者であった。さらに、品種の価格差が30 円程度ならば若干高くとも高く評価したリンゴを購入するが、100 円以上の価格差がついた場合は購入せず、有袋ふじや無袋秋星を購入する者は著しく減る結果となった。ただし、有袋ふじ・むつ、無袋秋星は、高齢者や高所得者に販売が期待でき、葉取らず・有袋といった栽培方法を上手く使い分けることで、よりよい販売環境の構築が可能になると思われる。
著者
山田 耕生 Kosei Yamada
出版者
共栄大学国際経営学部
雑誌
共栄大学研究論集 (ISSN:1880859X)
巻号頁・発行日
vol.7, pp.107-121, 2009-03-31

本稿では、浦和レッズとその本拠地であるさいたま市浦和地域(旧浦和市)を事例に、プロサッカークラブの発足に伴う「サッカーのまち」の変遷を明らかにした。浦和地域では1960年代から70年代にかけての約20年間の地元高校サッカー部による数々の全国優勝によって「サッカーのまち」としての認識が形成された。1993年に開幕したJリーグ以降は、行政、商店街などにより、サッカーのまちづくりが進められた。2000年代に入ると、浦和レッズも本格的に地域貢献活動に取り組むようになった。このように、Jリーグ開幕時からサッカーのまちづくりが着々と進展した要因は、地域住民の「サッカーのまち」としての認識やアイデンティティがあるためである。さらに、浦和レッズの地域貢献活動は本業のサッカーの強化には繋がらないが、結果として浦和レッズがさらに地域へ受け入れられるものになり、さらには浦和地域の「サッカーのまち」づくりが一層進んでいくものと考えられる。This paper deals with the case of Urawa district in Saitama City which successfully created the "Soccer Town" by establishing its local professional soccer team "Urawa Reds." Historically, winning several national championships of soccer tournaments by local high school teams formed recognition of Urawa district as the "Soccer town" in its 1960s and 1979s. Since the establishment of the national professional soccer league, "J-league" in 1993, both Urawa shopping districts and the local government have enthusiastically promoted the creation of "Soccer town" in Urawa. Urawa Reds itself has also positively participated in local activities since the 2000s. Thus, significant success of the creation of "Soccer town" in Urawa is mainly due to strong recognition and identity by local people as the "Soccer town" in Urawa district. Although such regionally contributing activities is not directly connected with the performance of soccer players in Urawa Reds, the team has received enthusiastic support, contributing to the further success of Urawa district as the "Soccer Town" as a result.
著者
新井 竜治
出版者
共栄大学
雑誌
共栄大学研究論集 (ISSN:13480596)
巻号頁・発行日
vol.14, pp.39-52, 2016-03-31

トーマス・チッペンデールは透視図法・投影図法という二つの異なる種類の製図法を自身の指導書に採用した。透視図は家具の全体像を顧客である貴族・紳士に伝えるためであった。対照的に、投影図は家具の詳細寸法を同業者もしくは下職の箱物家具職人に伝えるためであった。チッペンデールは投影図として平面図・正面図・側面図・断面詳細図を描いた。椅子はすべて透視図で描かれた。机・箱物家具は透視図・投影図のいずれか、もしくは両方で描かれた。
著者
小野 奈生子
出版者
共栄大学
雑誌
共栄大学研究論集 (ISSN:13480596)
巻号頁・発行日
vol.10, pp.235-254, 2012-03-15

本稿の目的は、H.Sacks の提示する「推論実行機械」という分析概念を利用して、小さき存在が〈児童〉になっていく学校的社会化過程の一端を明らかにすることにある。入学後間もない小学校1 年生の教室では、学校でのふるまい方に関して、時に冗長的にさえ感じられるほど細かい説明がなされる様子が観察される。しかしそこで教師によって提示される出来事の系列や使用される人物カテゴリーを詳細に検討・分析すると、そうした実践こそが子どもたちが〈児童〉になっていくため、つまり後の学校生活に適応し、学校の一成員となっていくための第一歩として効果的かつ不可欠なものであることが確認できる。本稿を通じて、学校における一見日常的な相互行為の積み重ねこそが学校的社会化過程を構成していることが示唆される。
著者
木村 貴紀
出版者
共栄大学
雑誌
共栄大学研究論集 (ISSN:13480596)
巻号頁・発行日
vol.10, pp.255-264, 2012-03-15

批評の立ち位置は、こと音楽に限っては微妙であるといえるだろう。それは作品なりの対象物があって、それを後追いする形で成り立つのがどの領域に於いての批評のあるべき姿なのだが、時間に不可逆的でいて、現れては消えてしまう「音」に由来する演奏会という機会にあっては、批評の対象が無形であるがために共有にはいくつもの条件を伴う。そのような状況下で表現される音楽批評であるが、それでもこの領域に於けるいくつもの役割を担うことで、音楽表現の一形態であることは論を俟たない筈なのに、それに相応しい評価を得られていない。それは西洋近代音楽という作品を、様々な解釈を以て日々「更新する」という演奏芸術の根幹の問題にも起因する。ここでは音楽批評が、健全に機能するために越えなければならないこととは何か、またそうしてどのような音楽においてどのような位置を占める音楽表現足り得るのかを追った。
著者
小川 智弘 Tomohiro Ogawa
出版者
共栄大学国際経営学部
雑誌
共栄大学研究論集 (ISSN:1880859X)
巻号頁・発行日
no.7, pp.1-13, 2009

アメリカのサブプライムローンの問題に端を発する、2008年夏に始まった今回の世界的な金融危機に直面して、資本主義経済は二度目の大きな挑戦を受けている。第一回目は1929年の世界大恐慌であり、このとき財政出動により経済を救うという形で、重商主義の時代以来初めて、大きな政府が登場した。そして、今回の危機で、政府が経済を救うという形で市場に介入し、さらに大きな政府が出現しようとしている。この問題を、資本主義経済に特有な長期の景気変動の問題と資本主義の本質という面から、その変わりゆく姿を資本主義のエートスの変化と捉え、市場と政府(ないしは国家)との関係として分析し、それがどのようになって行くのかを考察している。
著者
ニコラス A バフトン スティーブン ロイド
出版者
共栄大学
雑誌
共栄大学研究論集 (ISSN:13480596)
巻号頁・発行日
vol.10, pp.247-254, 2012-03-15

本論文は、2009 〜 2011 年に共栄大学国際経営学部(IBMD) に入学した学生の英語の能力の低下について述べたものである。本論は、クラス分けテストの得点と毎年の傾向を議論した上で、英語のカリキュラムが大きく変わっ現在でも、これ迄同様のクラス分けテストの存在意義、必要性について述べている。又、クラス分けの不適合は、学生の、(授業が簡単すぎたり難しすぎたりしての)退屈な授業の受講、学習意欲の消失、幻滅、無断欠席、と一連の流れに陥り最終的に退学という最悪の結果にもなりかねない事も書き加えている。
著者
金森 純
出版者
共栄大学
雑誌
共栄大学研究論集 (ISSN:13480596)
巻号頁・発行日
vol.14, pp.87-105, 2016-03-31

これまでに一過性のイベントを契機としたスタジアムの開発は批判の対象となってきた。これは近年、ワールドカップを開催したスタジアムでも問題となっており、その活用方法や採算性が問題となっている。また、J リーグの試合では、スタジアムを満員にできない状況にある。そこで、J リーグ発足とワールドカップ招致という取り組みにおけるJFA の活動理念を踏まえて、JFA 発行の「サッカースタジアム標準」の変遷に着目する。ここからスタジアム開発の意図を掴み、その課題について考察を行った。この考察から、以下の点が明らかとなった。 (1) J リーグ発足とワールドカップ招致は、サッカー及びスポーツの普及と同時にスタジアムの整備を目的に進められてきた。 (2) スタジアム標準は、イベントを契機として変化してきた。 (3) 一過性のイベントを契機とした開発は批判の的となってきた。そこで、建設基準は、巨視的に設定されなければならない。
著者
土屋 渉
出版者
共栄大学
雑誌
共栄大学研究論集 (ISSN:13480596)
巻号頁・発行日
vol.12, pp.59-85, 2014-03-31

最近、わが国を訪れる外客者数は、2011 年の東日本大震災による影響によって大幅に落ち込んだが、大幅に回復し、2013 年には1,000 万人目の外客を迎え、政府の目標を達成した。本稿は、特に伸び率が大きいASEAN 主要国からの訪日旅行者について検証したものである。 ASEAN 主要国は、日本から距離的にも比較的近く、アニメ等のサブカルチャーや和食に対し強い関心を持つなど、訪日旅行市場としての有望性が高いことから、GDP 成長率推移、可処分所得、宗教別人口、日本語学習者、日本在留者、日本への留学生、日本企業への留学生の就職状況、外国旅行、訪日旅行、日本における旅行の実態等の入手可能なデータを集め、今後のASEAN 主要国からの訪日旅行の動向を取りまとめたものである。
著者
堀井 希依子
出版者
共栄大学
雑誌
共栄大学研究論集 (ISSN:13480596)
巻号頁・発行日
vol.10, pp.121-140, 2012-03-15

本研究は、看護師の離職防止対策の示唆を得ることを目的として、1)自己効力感、達成動機、キャリアレジリエンス、キャリアパースペクティブの各要因が組織コミットメントに対してどのような効果を持っているのか、2)組織コミットメントは職業継続意思にどのような効果を持っているのかをキャリアステージ別に検討する多母集団解析を実施した。調査は、801 名の女性看護師を対象に実施した。分析の結果、中期キャリアにある看護師の組織コミットメントを規定する要因は他のキャリアステージのそれとは異なっていることに加えて、組織コミットメントが低い傾向が見出された。以上の結果から、中期キャリアにある看護師の離職防止を強化する必要性が示唆された。
著者
高田 智之
出版者
共栄大学
雑誌
共栄大学研究論集 (ISSN:13480596)
巻号頁・発行日
vol.11, pp.67-74, 2013-03-31

『満蒙』という76 年の歴史を持つ筆者の実家の老舗鮮魚店の屋号と、実家に保管されていた戦前の写真グラフなどを通して、内地の日本人として祖父と父が満洲(現・中国東北部)に対してどのような理解を得ていたかを考察した。一方、実家の店以外にも満洲にちなんだ屋号を持つ商店や旅館があることが分かり、それらの屋号の由来について経営者に聞いた。その結果、筆者の祖父や父を含め、彼らが満洲に対して繁栄、希望、懐古といったシンプルかつ独善的なイメージを抱いていたことが確認された。そのようなイメージは日本の傀儡国家・満洲国に代表される当時の満洲の実態とはかけ離れたものであるが、今日の尖閣諸島問題のような日中間の歴史認識の隔たりを理解する手掛かりを提供してくれる。
著者
内田 学 平田 博紀 堀井 希依子
出版者
共栄大学
雑誌
共栄大学研究論集 (ISSN:13480596)
巻号頁・発行日
vol.11, pp.93-106, 2013-03-31

現在、家電量販業界では、熾烈な戦いが繰り広げられている。本稿ではその中でマーケットリーダーのヤマダ電機と人材教育に定評があるヨドバシカメラを採りあげる。ヤマダ電機とヨドバシカメラの戦略はマイケル・E・ポーターの3 つの基本戦略に照らし合せると、現在のところ、それぞれコストリーダーシップ戦略、差別化戦略を採って成功している。本論文では、両社のそれぞれの戦略について詳述し、さらに今後の激変する環境の中で両社が採っている戦略をどのような変化させていくのかを検討する。
著者
平井 宏典
出版者
共栄大学
雑誌
共栄大学研究論集 (ISSN:13480596)
巻号頁・発行日
vol.10, pp.141-155, 2012-03-15

本稿は、企業ミュージアムにおける基本的性質の分析に資するフレームワークの構築を目的とした研究である。企業ミュージアムの設立は、企業社会責任の観点から公益に資する目的に加え、その経営において企業の意思が反映されているという特徴を有している。このことから、公益性を前提とした博物館学における既存の館種の分類では企業ミュージアムの特質を適切に捉えることが困難であると考えられる。 このような状況を踏まえ、本研究では企業ミュージアムの特質を適切に反映するために縦軸に事業の関係性、横軸に機能の充実度という2 つの軸による分析フレームワークを構築した。事業の関係性とは企業ミュージアムにおける企業の意思を反映する軸であり、機能の充実度は博物館機能にどれほどの重点を置いているかを示す軸である。このフレームワークにより企業ミュージアムの基本的性質として殿堂型、事業志向型、機能志向型、シナジー志向型の4 つの類型を見出すことができた。
著者
田中 卓也
出版者
共栄大学
雑誌
共栄大学研究論集 (ISSN:13480596)
巻号頁・発行日
vol.11, pp.121-138, 2013-03-31

講談社刊行雑誌『少年倶楽部』(のちに『少年クラブ』改称)は、発刊された1914(大正3)年から昭和戦前期にかけて、当時小学校高学年から中学生までの読者層の多くを"愛読者"として獲得することに成功した。彼らは立身出世による進学意識、勤勉かつ真面目であり国家に奉公できる少年像をメルクマールに、投書欄に集い次第に読者共同体を形成していった。戦後多くの少年の夢や希望を与えることを使命に、復刊を果たした。復刊されたが、投書欄の登場は発刊から数年を経てからであった。戦後の同誌は民主化政策の影響で投書内容も戦前のものとは異なり「学級新聞」や「日記」等が見られた。また誌面で仲間を求める内容のものも見られなかった。昭和30 年代中ごろより「テレビ」、「まんが」といったマス=メディアの影響を大きく受け、誌面構成に大きく波及した。後進の新興雑誌などと販売競争しながらも継続発行されたが、1962(昭和37)年にその役割を終えた。