- 著者
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原田 敬一
- 出版者
- 佛教大学
- 雑誌
- 歴史学部論集 (ISSN:21854203)
- 巻号頁・発行日
- vol.2, pp.71-90, 2012-03-01
本稿は、新出の史料である「従軍日誌」一編を使用して、「日清戦争」を従軍者がどのように描いているか、を追究した前号掲載論考の続きである。この「従軍日誌」の著者は、混成第九旅団野戦砲兵第五聯隊第三大隊第五中隊に属する将校であり、一八九四年六月六日から翌年二月一四日まで日記を書き続けた。戦後の清書や刊行物ではなく、現場で書いていた日記と推測される意味でも、所属する部隊も日本が日清戦争開戦前に朝鮮に派兵した最初の部隊の一員であったという意味でも貴重である。参謀本部が編纂し、刊行した『日清戦史』全八巻には、いくつかの遺漏や改ざんの跡が指摘されており、そうした点も、「従軍日誌」という軍人自身の記述により再検討することができる。前号に六月六日から七月二六日までを掲載し、今号は七月二七日から九月一四日(平壌総攻撃前日)までを掲載する。