著者
村井 尚子
出版者
大阪樟蔭女子大学
雑誌
大阪樟蔭女子大学研究紀要 (ISSN:21860459)
巻号頁・発行日
vol.2, pp.73-83, 2012-01

ユトレヒト学派の現象学研究の流れを継承するオランダの教育学者トン・ベークマンは、天賦の才を備えた学者にのみ可能であった現象学の方法を教育学を学ぶ学生にも可能にするために、「現象学の民主化」という試みを行っていた。本稿では、「現象学の遂行」と名づけられたユトレヒト大学での授業において彼とその共同研究者らが実施していた現象学的な記述の分析の手順について、論文「現象学的記述の分析」を参照しながら考察する。また、その手順に従って筆者のゼミで実施した「暗闇の中での恐怖」に関する状況分析について報告を行う。彼の提起した現象学的記述の方法は、哲学的な厳密性に関しては議論の余地があるものの、教師を目指す学生や教育を研究するものが子どもを理解し行為を方向づけるための重要な方策となるものと考える。

言及状況

Twitter (2 users, 2 posts, 3 favorites)

振り返りの書き方と言えば、『リフレクション入門』(2019年、学文社)で村井尚子先生が「現象学的記述」を具体的なワークとして紹介しているのも参考になる。 詳細に解説している論文がオープンアクセスに 村井尚子(2012)「子どもという人間」への理解(2)現象学的記述の分析 https://t.co/qnOJ2jRtho

収集済み URL リスト