著者
工藤 真由美
出版者
四條畷学園短期大学
雑誌
四條畷学園短期大学紀要 (ISSN:18811043)
巻号頁・発行日
vol.45, pp.1-5, 2012-05

経済協力開発機構(OECD)による「生徒の学習到達度調査」(PISA)により、日本の子どもの学力が低下していることが明らかにされた。従来の「ゆとり教育」を見直し、学力向上へと視点を移すきっかけになった。その後2010年12月、「PISA2009」の結果が公表された。3年ごとの実施を受け、毎回参加国が増え現在では65か国が参加するまでになり、PISAの世界に対する影響の大きさを窺い知ることができる。「PISA2009」の結果から日本の子どもの学力が読解リテラシーを中心に上昇に転じたことがわかる。しかし、PISAに対応した全国学力調査の実施等から、実はPISAもテスト形式であり、訓練成果が反映される様相がみられる。他方「高等教育における学習成果の評価」(Assessment of Higher Education Learning Outcomes)ーAHELOーいわゆる大学版PISA)の導入の動きがなされている。今後大学教育の成果の国際比較や、同じくDECECOのDeSeCo(「コンピテンシーの定義と選択:その論理的・概念的基礎」プロジェクト)が示す社会人としての能力(キー・コンピテンシー)との関係も考察しながら、学生を社会に送り出す大学教育のあり方が検討されるべきである。

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