- 著者
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大塚 良治
- 出版者
- 湘北短期大学
- 雑誌
- 湘北紀要 (ISSN:03859096)
- 巻号頁・発行日
- no.32, pp.107-142, 2011-03-31
本論は,鉄道事業者が通勤輸送向け着席保証列車を運行する意義を明らかにし,今後の通勤輸送向け着席保証列車の新規運行の可能性を展望することを目的とする。通勤輸送向け着席保証列車の意義および運行可能性について,全国の事例および東武鉄道東上本線TJ ライナーの採算性分析を踏まえ検討する。利用客の着席ニーズが高い場合,鉄道事業者は,通勤輸送向け着席保証列車を運行することで,収益を確保することができる。しかし,鉄道事業者にとって,通勤輸送向け着席保証列車の運行は,企業価値向上と着席機会の提供を通じた利用客の便益確保を両立する手段として位置付けることが重要である。利用客に着席という「選択肢」を提供する通勤輸送向け着席保証列車を運行することで,鉄道の魅力を向上させ,環境に優しい鉄道の利用促進につなげることができれば,自動車の利用者を減らし,CO2 削減,交通事故防止および道路渋滞の抑制を図ることも可能となる。