著者
大塚 良治
出版者
湘北短期大学
雑誌
湘北紀要 (ISSN:03859096)
巻号頁・発行日
no.38, pp.63-76, 2017

本論の目的は、東日本旅客鉄道(JR 東日本)による常磐線特急料金変更の動機を解明し、同社の利益増加と地域活性化の両方を実現する方策を提示することである。常磐線特急料金変更は、割安な特急定期券の廃止を伴ったことから、沿線自治体および消費者の反発を招いた。JR 東日本は特急料金収入の増加を狙い、特急定期券の廃止を断行したが、特急定期券の復活こそが同社の利益増加と地域活性化につながる。政府は消費者保護を図るため、鉄道事業法を改正するとともに、鉄道事業者もステークホルダーと連携して魅力的な街づくりに向けて共働することが求められている。
著者
大塚 良治
出版者
湘北短期大学
雑誌
湘北紀要 = Journal of Shohoku College (ISSN:03859096)
巻号頁・発行日
no.39, pp.117-134, 2018-03-31

観光まちづくりの中で、公共施設として自治体が保有するプロ野球球場を核としたまちづくりによって交流人口の増加をはじめとする地域活性化に取り組む地域を事例として、企業会計的アプローチに基づく観光まちづくりの論理の解明を試みる。仮説「公共施設を活用した観光まちづくりへの企業会計手法の適用は、自治体と観光関係主体の戦略的提携に役立ち、観光誘客を導く」を検証するために、学術的設問として「公共施設を活用した観光まちづくりへの企業会計手法適用の論理とは何か」および「公共施設を活用した観光まちづくりへの企業会計手法の適用は、自治体と観光関係主体の戦略的提携に役立ち、観光誘客を導くか」を提示し、検証する。プロ野球球場は観光振興の視点も踏まえて、鉄道アクセス利便性確保を前提に、着地型観光と連動した地域活性化を実現するため、企業会計の観点を踏まえた観光関係主体との戦略的提携を締結することが、プロ野球・鉄道・地域の「三方よし」を実現することにつながると考えられる。そして、地方自治体は持続可能なまちをつくるためのビジョンを提示し、定住人口と交流人口の増加を図ることが求められる。
著者
大塚 良治
出版者
湘北短期大学
雑誌
湘北紀要 (ISSN:03859096)
巻号頁・発行日
no.32, pp.107-142, 2011-03-31

本論は,鉄道事業者が通勤輸送向け着席保証列車を運行する意義を明らかにし,今後の通勤輸送向け着席保証列車の新規運行の可能性を展望することを目的とする。通勤輸送向け着席保証列車の意義および運行可能性について,全国の事例および東武鉄道東上本線TJ ライナーの採算性分析を踏まえ検討する。利用客の着席ニーズが高い場合,鉄道事業者は,通勤輸送向け着席保証列車を運行することで,収益を確保することができる。しかし,鉄道事業者にとって,通勤輸送向け着席保証列車の運行は,企業価値向上と着席機会の提供を通じた利用客の便益確保を両立する手段として位置付けることが重要である。利用客に着席という「選択肢」を提供する通勤輸送向け着席保証列車を運行することで,鉄道の魅力を向上させ,環境に優しい鉄道の利用促進につなげることができれば,自動車の利用者を減らし,CO2 削減,交通事故防止および道路渋滞の抑制を図ることも可能となる。
著者
大塚 良治
出版者
湘北短期大学
雑誌
湘北紀要 (ISSN:03859096)
巻号頁・発行日
no.37, pp.95-113, 2016

北海道新幹線について、日本一割高な特急料金の上限設定が総括原価方式に基づき認可された。しかし、割高な特急料金は、移動の自由の制約ならびに地域間交流や地域活性化の阻害要因となる懸念がある。航空路線に対して競争力のある価格設定の企画乗車券や鉄道の特性を生かした周遊券の全国の JR 線の駅窓口での発売、旅行商品の発売および寝台列車・観光列車を JR 他社と協力して運行すること等の工夫が必要である。JR北海道は、JR 他社との戦略的提携を進め、北海道新幹線の利便性向上を進める必要がある。また、JR グループと沿線自治体が連携して、道南・青森エリアの観光資源を広域的に PR することで、新たな観光需要を掘り起こす取り組みも必要である。JR 北海道が列車の安全運行に専念できる制度設計は、北海道新幹線の信頼性を高め、道南・青森エリアの観光振興に貢献する最善策である。
著者
大塚 良治 Ryoji Otsuka 湘北短期大学 Shohoku College
出版者
湘北短期大学・図書館委員会
雑誌
湘北紀要 (ISSN:03859096)
巻号頁・発行日
no.36, pp.81-91, 2015

日本国有鉄道(国鉄)の分割民営化後、JR 会社間の経営格差は拡大し、地方交通線問題は深刻さを増すとともに、夜行列車の衰退を招いた。国鉄分割民営化後、JR グループは資本関係のない別個の法人となり、会社間をまたがる直通列車について、JR 会社間の運行調整を必要とするようになった。この調整のために、追加コストが発生することとなった。本論は、夜行列車の収支試算を行った上で、「ステークホルダーアプローチ」に基づいて夜行列車の活性化を図る方法を提示する。
著者
大塚 良治
出版者
湘北短期大学
雑誌
湘北紀要 (ISSN:03859096)
巻号頁・発行日
no.33, pp.57-72, 2012-03-31

鉄道会社が鉄道車両を取得する方法としては主に、車両メーカーに発注し新造車両の引渡しを受ける方法と、他社の中古車両を譲り受ける方法の2 つがある。比較的財政的余裕のあるJR 旅客会社や大手私鉄では、メンテナンスコスト削減や省エネを図ること等を意図して、新造車両を導入することも可能である。そして、旧型車両を廃車にすることが決定された場合、解体処分または他社への譲渡等を選択することとなる。しかし、中小私鉄にとっては、新造車両を導入するための初期投資資金を捻出することは困難な場合が多いことから、JR 旅客会社や大手私鉄で廃車となった中古車両に目を向けることとなるのである。鉄道車両のうち「電車」の法定耐用年数は13 年であるが、通常鉄道車両の使用期間は30 年〜 40 年である。本論は、新造車両の取得と減価償却に係る会計処理、および中古車両の売買と減価償却に係る会計処理をそれぞれ検討し、廃車時期としては比較的短期と判断される年数として新造から20年以内に廃車となることが意思決定された鉄道車両に係る減損処理について議論する。そして、減損処理を実施することで、投下資本利益率(ROI)向上すること、および資産の過大表示は、ROI を押し下げる要因となることを明らかにする。
著者
大塚 良治 Ryoji Otsuka 湘北短期大学総合ビジネス学科
巻号頁・発行日
no.33, pp.57-72, 2012-03-31

鉄道会社が鉄道車両を取得する方法としては主に、車両メーカーに発注し新造車両の引渡しを受ける方法と、他社の中古車両を譲り受ける方法の2 つがある。比較的財政的余裕のあるJR 旅客会社や大手私鉄では、メンテナンスコスト削減や省エネを図ること等を意図して、新造車両を導入することも可能である。そして、旧型車両を廃車にすることが決定された場合、解体処分または他社への譲渡等を選択することとなる。しかし、中小私鉄にとっては、新造車両を導入するための初期投資資金を捻出することは困難な場合が多いことから、JR 旅客会社や大手私鉄で廃車となった中古車両に目を向けることとなるのである。鉄道車両のうち「電車」の法定耐用年数は13 年であるが、通常鉄道車両の使用期間は30 年~ 40 年である。本論は、新造車両の取得と減価償却に係る会計処理、および中古車両の売買と減価償却に係る会計処理をそれぞれ検討し、廃車時期としては比較的短期と判断される年数として新造から20年以内に廃車となることが意思決定された鉄道車両に係る減損処理について議論する。そして、減損処理を実施することで、投下資本利益率(ROI)向上すること、および資産の過大表示は、ROI を押し下げる要因となることを明らかにする。
著者
大塚 良治 Ryoji Otsuka 湘北短期大学総合ビジネス学科
出版者
湘北短期大学・図書館委員会
雑誌
湘北紀要 (ISSN:03859096)
巻号頁・発行日
no.34, pp.127-152, 2013-03-31

2000 年3 月の鉄道事業法改正により、旅客鉄道事業の退出は、従来の許可制から、原則1 年前の事前届出制に緩和され、以降鉄道路線の廃止が続出した。近畿日本鉄道(近鉄)は、同社が運営する内部・八王子線について、長年にわたって乗車人員減少に伴う営業損失が続いていることを理由として、BRT(バス高速輸送システム)への転換を提案した。これまで廃止された鉄道路線の多くが、営業損益の改善を見込めないことを理由として廃止に追い込まれてきたが、一方で不採算路線について費用対効果分析が実施され、社会的便益が会計上の営業損失を超えると判断された結果、行政より補助金投入がなされて、存続が実現している場合がある。内部・八王子線についても、費用対効果分析を実施した結果、鉄道存続の方がBRT 化よりも社会的便益がはるかに大きいことが明らかとなった。市民も株主として出資する第三セクター会社に同線の運営を継承させた上でかつ特殊狭軌路線として維持することが、最大の社会的便益かつ最小の公的負担額を実現し、市民の利用を最も促進することができる方策である。The revisions of the railway business act in Japan result many abolition cases of unprofitable railways.Kintetsu corporation expressed a conversion of Utsube and Hachioji lines from railways to Bus Rapid Transit (BRT). But we must discuss whether unprofitable railways must be continued or abolished, based on the costbenefit analysis. There are many cases of realizing continuations of railways, since the local governments take into account that social benefits of unprofitable railways above operating profits of these railways. Based on the costbenefit analysis of Utsube and Hachioji Lines, we must discuss a measure that the local governments set up the third sector railway company, then citizens invest in this company. This measure leads realizing maximum social
著者
大塚 良治
出版者
横浜国立大学
巻号頁・発行日
2004

博士論文
著者
大塚 良治 Ryoji Otsuka 湘北短期大学総合ビジネス学科
出版者
湘北短期大学・図書館委員会
雑誌
湘北紀要 (ISSN:03859096)
巻号頁・発行日
no.34, pp.115-126, 2013-03-31

近年、バス高速輸送システム(BRT)が鉄道の代替交通機関として認知されるようになってきた。近畿日本鉄道(近鉄)は、同社が運営する内部・八王子線について、長年にわたって乗車人員減少に伴う営業損失が続いていることを理由として、同線のBRT への転換を提案し、四日市市に対してBRT 転換の初期費用の補助を求める意向を表明した。鉄道を廃止して、バス専用レーンを設置した、旧鹿島鉄道代替バス(かしてつバス)の事例では、乗車人員の回復や地価下げ止まり効果は確認されていない。定時性が確保されかつ運営費用が低廉という利点だけでBRT 化を進めるのではなく、鉄道の存廃について、社会的便益の観点で検証することが肝要である。The Kintetsu corporation expressed a plan of a conversion of Utsube and Hachioji lines from railway to Bus Rapid Transit. This paper discusses impacts by abolishing railways based on a case of Bus Rapid Transit after abolishing Kashima Railway. We must discuss a continuation of railways based on cost-benefit analysis.
著者
大塚 良治
出版者
湘北短期大学
雑誌
湘北紀要 (ISSN:03859096)
巻号頁・発行日
no.33, pp.73-105, 2012-03-31

鉄道事業者は自社の収入増加に関心を集中させるために、自社の利用促進策を主要な営業施策としがちにすることは否めない。本論は、異なる鉄道事業者同士が戦略的提携を実施することによって、鉄道ネットワークの持続的運営につなげる方策について議論する。特に、JR 旅客会社や大手私鉄が自社の利用促進策に、地方の中小私鉄を積極的に取り込むことが、自社の収入増加につながるとともに、中小私鉄の活性化ひいては鉄道ネットワークの持続的運営にも寄与する。本論では、JR 旅客会社の収入分配に見る鉄道ネットワークの魅力低下の事例をまず考察した上で,鉄道事業者間の戦略的提携の事例を概観し、JR 旅客会社・大手私鉄と中小私鉄による戦略的提携の効果と可能性について、アンケート調査の結果を基に検証する。
著者
大塚 良治
出版者
湘北短期大学
雑誌
湘北紀要 (ISSN:03859096)
巻号頁・発行日
vol.35, pp.1-13, 2014-03-31

Japanese government emphasizes success of privatization and separation of JNR because of freezingincreasing fares, improving services and increasing corporate tax payment, but we are facing maladies ofprivatization and separation of JNR. For example, decreasing the frequency of trains on the regional networksand direct trains to other JR companies crossing stations on boundaries are considered as these maladies. For solving maladies of separation of JNR by regions (a example of horizontal separation), we propose that Japanesegovernment establishes a holding company or "Japan Railway Group Holdings Company (JRHD) that control JR companies. By doing this, JRHD will be able to receive dividends from three JR companies in Honshu, and tomake a appropriation of these dividends to assist JR companies in three Islands and JRF.