著者
岩崎 宗治
出版者
人間環境大学
雑誌
人間と環境 (ISSN:21858365)
巻号頁・発行日
vol.2, pp.73-84, 2011-11-15

シェイクスピアの『ソネット集』(一六〇九)は、一五四篇のソネット連作と三二九行の物語詩「恋人の嘆き」を併せて一巻として出版された。これはサミュエル・ダニエルの『ディーリア』の構成に倣って書かれた作品であって、全巻を一つのまとまりとして読むと、この詩集は愛の動因をキューピッドに帰するペトラルカ恋愛詩の伝統を棄てて、現実の人間の性的欲望を愛の動因とする恋愛詩集であると読める。このように愛の核心を欲望と認知することは、近代個人主義の一面と見ることができる。

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