著者
須藤 靖
出版者
一般社団法人日本物理学会
雑誌
日本物理學會誌 (ISSN:00290181)
巻号頁・発行日
vol.67, no.5, pp.311-316, 2012-05-05

宇宙膨張は(正しく理解されているかは別として)今や現代人の常識と言っても良いほど広く知られた事実である.理論的には一般相対論の自然な帰結であり,その膨張宇宙解は,ロシアのアレキサンドル・フリードマン(1922年)およびベルギーのジョルジュ・ルメートル(1927年)によって発見された.一方,それが単なる理論的な解ではなく,我々の宇宙を記述していると考えられる根拠は,遠方銀河があまねく我々から遠ざかっており,しかもその速度がその銀河までの距離と比例しているという観測事実である.この速度-距離関係は,1929年の論文で発表した米国の天文学者エドウィン・ハッブルの名前を冠してハッブルの法則,速度と距離の比例係数はハッブル定数と呼ばれている.しかし,ルメートルは1927年の論文(フランス語)ですでに「ハッブルの法則」を発見していたという.しかも1931年に出版された英訳版の論文では,その該当箇所がなぜか消えている.このミステリアスな事実が最近,一部の天文学者の間で注目を集めている.

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たまたま見つけたが面白い報告(と思います)。→ CiNii 論文 -  ハッブルかルメートルか : 宇宙膨張発見史をめぐる謎(交流) http://t.co/ZoC2DLk1IM #CiNii
ハッブルかルメートルか : 宇宙膨張発見史をめぐる謎(交流)  http://t.co/Jnag5IMcp3 オープンアクセスで。 参考: http://t.co/9SDBb7Ikqd  スティグラーの法則の例は、拙訳書『地球接近天体』(地人書館)にも出てきます。
↓にほんの少しでも興味を持った方は今年の会誌5月号「ハッブルかルメートルか : 宇宙膨張発見史をめぐる謎」がオススメ http://t.co/L0Jw1mYL

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