- 著者
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増田 真実
岡嶋 克典
- 出版者
- 一般社団法人電子情報通信学会
- 雑誌
- 電子情報通信学会技術研究報告. HIP, ヒューマン情報処理 (ISSN:09135685)
- 巻号頁・発行日
- vol.111, no.283, pp.57-62, 2011-11-03
食体験は味覚だけでなく,視聴覚を含む様々な感覚を動員して行われる.本研究では,咀嚼音が食感に与える影響について実験的に検討した.咀嚼タイミング検知システムを用いて,実験前にあらかじめ録音した咀嚼音を被験者の咀嚼タイミングに合わせて呈示した.カステラ,かまぼこ,キャラメルコーン,グミ,たくあん,パイの実,マシュマロの7種いずれかを咀嚼している際に,せんべいか団子かのどちらかの咀嚼音が呈示された.評価食感は硬さ,液分率(食品が含む液体分の割合)の2種で,呈示咀嚼音による変化の度合いを9段階尺度で被験者に評価してもらった.その結果,せんべいの咀嚼音は硬さ感を増して液分率を小さく知覚させるが,団子の咀嚼音は硬さ感を減少させて液分率を大きく知覚させる傾向があることが示された.また被験者は,咀嚼行動によって生じる快度も評価した.その結果,団子の咀嚼音呈示時に快度が減少する傾向があることが示された.