- 著者
-
原 寛美
- 出版者
- 日本脳神経外科コングレス
- 雑誌
- 脳神経外科ジャーナル (ISSN:0917950X)
- 巻号頁・発行日
- vol.21, no.7, pp.516-526, 2012
- 被引用文献数
-
6
脳卒中後に生じる可塑性の知見に基づき,脳卒中リハビリテーションは進められる必要性がある.Critical time windowと呼ばれる発症後2〜3週以内に,効果的なリハビリテーションの介入をすることが可塑性を最大限に引き出すことになる.急性期からの運動機能回復のステージ理論が提唱されている.急性期は残存するcorticospinal excitabilityに依拠する回復であり,3ヵ月で終了する.その後3ヵ月をピークに生じているメカニズムは皮質間抑制が解除されるintracortical excitabilityであり6ヵ月まで続く.その後6ヵ月以後も続くのはtraining-induced synaptic strengtheningのメカニズムである.それぞれの時期に効果的なリハビリテーションプログラムを選択する必要性がある.治療的電気刺激,ミラーテラピー,課題志向的訓練などがプログラムの選択肢となる.経頭蓋磁気刺激と集中OT(Neuro-15)は,従来は困難であった慢性期における上肢手指麻痺改善に向けた新たなリハビリテーションの手法である.