著者
大塩 まゆみ
出版者
社会政策学会
雑誌
社会政策 (ISSN:18831850)
巻号頁・発行日
vol.3, no.3, pp.91-102, 2012-01-20

本稿は,子どものウェルビーイングに関する先行研究のレビューとして,保育政策の動向に関する著作を取り上げ,最近の保育制度改革の問題点と課題を明らかにするものである。まず保育制度改革を批判する2点の著作を紹介する。これらは,昨今の保育政策の規制緩和・民営化等の問題点を指摘し,ナショナルミニマムの重要性を説いている。次に,児童福祉専門の二人の研究者の著作を検討する。これらに共通する特徴は,地域分権や地域福祉を強調していること,公的保育所に内発的改善を求めていることである。しかし,後者の研究には,いくつかの疑問が生じる。これらの文献の考察から,最近の保育制度改革には不安材料が多いと,結論づける。今後の課題は,人生のスタート時点の保育を社会発農の投資と考え公費を捻出・投入すること,経済優先からHuman Life(生命・生活・人生)重視の政策へと重点を変えることである。

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