著者
三輪 清子
出版者
一般社団法人日本社会福祉学会
雑誌
社会福祉学 (ISSN:09110232)
巻号頁・発行日
vol.53, no.2, pp.45-56, 2012-08-31

わが国では,低迷を続けてきた里親委託が近年徐々に増加し始めている.なぜ里親委託に変化が生じたのか.本稿では,この変化を児童虐待の増加の直接的な効果,間接的な効果(児童福祉司の増員が図られ,児童福祉司の役割過重が軽減された効果)と考える2つの仮説を設定し,2000〜2009年の都道府県政令指定都市を単位としたパネルデータを用いて検証を行う.分析の結果,2つの仮説が支持された.特に児童福祉司増員の効果は,児童虐待の直接的な増加より大きな効果をもつことが示された.ただし,そのすべての効果が役割過重の軽減化によって説明されたわけではなかった.児童福祉司の増員は,増加する児童虐待への対応を図ったものであるが,これによって児童福祉司1人当たりの相談対応件数の減少のみならず里親担当児童福祉司の配置などが実現し,それがその後の里親委託の増加という意図せざる効果をもたらした可能性がある.

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三輪清子,2012,「2000年以降の里親委託の増加をもたらしたものーー児童虐待の増加の直接的効果と間接的効果をめぐって」『社会福祉学』53(2): 45-56. http://t.co/7VRdI2UrDc
三輪清子,2012,「2000年以降の里親委託の増加をもたらしたものーー児童虐待の増加の直接的効果と間接的効果をめぐって」『社会福祉学』53(2): 45-56. http://t.co/QpmS8xuTNw
CiNii 論文 -  2000年以降の里親委託の増加をもたらしたもの : 児童虐待の増加の直接的効果と間接的効果をめぐって http://t.co/QpmS8xuTNw #CiNii

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