- 著者
-
三輪 清子
- 出版者
- 福祉社会学会
- 雑誌
- 福祉社会学研究 (ISSN:13493337)
- 巻号頁・発行日
- vol.17, pp.31-50, 2020-05-31 (Released:2021-06-23)
- 参考文献数
- 16
社会的養護を受ける子どもたちの措置先の一つである里親家庭は,子どもたちの一時的な養育を行う.里親家庭に委託された子どもは,実家庭への復帰,あるいはその見込みがない場合は,18 歳での自立を目指すことになる.里親
家庭の養育期間は,子どもの実親の状況と児童相談所の決定に依る.児童相談所の決定によって,里親家庭から施設あるいは実親の家庭に復帰することを措置変更というが,本稿では,インタビュー調査によって得られた,ある措置変
更事例を検討する.
対象にするのは,里親子関係が良好である中で,実親との交流のために,突然,子どもが児童養護施設に措置変更された事例である.本稿の目的は,この同一の措置変更事例をめぐる,児童相談所職員,里親支援機関職員,養育里親の三者の視点を捉えることにある.そのうえで,児童相談所から措置以外の里親業務全般を受託している民間里親支援機関の介入が里親に与える影響を考察する.併せて,措置変更の際に生じた児童相談所と里親の立場の違いに着目する.