- 著者
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片岡 邦好
- 出版者
- 社会言語科学会
- 雑誌
- 社会言語科学 (ISSN:13443909)
- 巻号頁・発行日
- vol.14, no.1, pp.61-81, 2011-09-30
- 被引用文献数
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本稿では,日本人ロック・クライマーによる経路探索の議論に焦点を当てて,ランドマークの空間関係や参与者による移動の描写,そして彼らの身体表象がどのように包括的な「認知地図」の構築と変遷に関わるかを論じる.そこでまず,(1)従来曖昧なまま語られてきた「間主観的」視点を本論考の目的に沿って定義し,(2)経験基盤の異なる参与者がマルチモーダルな表象を通じて達成する視点取りの様式を考察する.そして,観察された発話と身体の協調と融合は,「当事者/観察者」および「内在的/外在的」視点の採用により特徴付けられること,さらに,異なる立地点からの間主観的視点が創発することで相互理解が進展する過程を検証し,談話において社会的に構築,維持される認識とその変遷について,「場の交換」(Duranti, 2010)の果たす役割と可能性を提案する.