- 著者
-
佐野 美奈
- 出版者
- 大阪樟蔭女子大学
- 雑誌
- 大阪樟蔭女子大学研究紀要 (ISSN:21860459)
- 巻号頁・発行日
- vol.3, pp.93-102, 2013-01-31
この研究の目的は、音楽的表現育成プログラムの実践過程で4歳児の「音への気づき」を起点とした活動の展開の特徴を考察することを通して、活動の要素の変容について明らかにすることである。4歳児のこの活動事例について、保育園で3年間の実践過程を検討した。その結果、実践2年目と実践3年目に活動の要素が増し、展開の可能性が示された活動の特徴が見い出されることがわかった。実践1年目で「音への気づき」については、生活音に限定されていた。実践2年目では、虚構体験がその活動の対象となった。特に、ストーリー化の過程において、パターン化された表現形式を経験することによって、子ども達に自発的表現が多く生じていた。同時に、動きから3段階目の音楽的諸要素の認識に向けた活動の特徴も見られた。実践3年目では、擬音語、擬態語のイメージによって歌詞を創造したり、クリエイティブ・ムーブメントを生じたりする展開が特徴的であった。