著者
崔 銀姫
出版者
佛教大学社会学部
雑誌
社会学部論集 (ISSN:09189424)
巻号頁・発行日
no.53, pp.1-18, 2011-09

本研究は,日本でテレビ放送が始まった1950年代から現在にいたるまでの約60年間の,アイヌを素材としたテレビドキュメンタリー放送の歴史を概観しつつ,アイヌ表象の文化的言説の特徴と変容を考察する目的で行われている「テレビドキュメンタリーにおけるアイヌ表象と他者性の問題にかかわる考察 : 戦後60年間の軌跡と変容」の一部である。本稿はそのうち,1899年(明治32年)に制定された「北海道旧土人保護法」をはじめ,明治時代に施行され始めた同化政策の政治的な成功の裏で,「消された他者」としてのアイヌのアイデンティティが現代の映像ではどのようにイメージされていたのかを考察したものである。戦後の1950年代,アイヌの同化は政策的には既に完了したと言われたが,果たして放送におけるアイヌをめぐる表象は完了されていたのか。テレビドキュメンタリーでアイヌ問題を初めて取り上げた「コタンの人たち:日本の少数民族」(1959年・NHK全国放送)におけるアイヌの表象を分析することで,1950年代日本の社会におけるアイヌと「他者性」について検討を行った。アイヌドキュメンタリー他者性エスニック表象

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