著者
香曽我部 琢
出版者
日本保育学会
雑誌
保育学研究 (ISSN:13409808)
巻号頁・発行日
vol.50, no.2, pp.202-215, 2012-12-25

本研究では,少子化,過疎化が急激に進む地方小規模自治体における保育者の成長を,保育者アイデンティティ形成の視点から明らかにし,その特徴について検討する。そして,少子化,過疎化が急激に進む地方自治体の保育者の現職教育の在り方について新たな視座を示唆する。具体的には,熟達した保育者に対して半構造化インタビューを行い,GTAによって分析を行った。その結果,保育者アイデンティティの形成過程において,少子化によって施設の規模の差異が生じ,その差異や差異のある施設間を異動するによって,さまざまな問題や良い効果が生み出されていることが示された。そして,これらの問題に対して,保育者は,異動を繰り返し(異動サイクル),その度に新たな気づきを得て,理想とする保育実践を構想し,葛藤することを保育実践において繰り返す(実践サイクル)中で,保育所や研究会などの公的な組織ではない,保育者間の個人的なつながり(保育実践コミュニティ)を生み出し,問題に対応していることを明らかにした。そこで,本研究では,施設の規模に応じた,現職教育の研修内容や体制の在り方について例示を行った。

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GTAで分析したこのデータを改めてTEMで分析・比較したもう1件の論文と合わせて読むと面白いんだこれがまた。でもM-GTAだとデータを切片化しないから、どっちかというとGTAの方が細かい印象。 https://t.co/V6LsVispqu

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