著者
香曽我部 琢 越後 百々奈 福田 花野 嶋貫 綾香 下地 ひかる
出版者
宮城教育大学情報処理センター
雑誌
宮城教育大学情報処理センター研究紀要 : COMMUE (ISSN:18847773)
巻号頁・発行日
no.23, pp.41-48, 2016

本研究では、教育学部に所属する学生が、大学生活の中で不安や葛藤を乗り越え、教師としての自己を形成していく過程に着目した。とくに、現在感じとっている教育実習不安だけでなく、将来、自分が教師になったときの不安について取り上げ、どのような不安を抱いているのかその時間的展望を明らかにし、その不安を推し量る心理尺度を作成する。そして、その尺度をもとに、教師を目指す学生が抱く将来の不安が現在の教師効力感、実習経験、教師志望度にどのような影響を与えるのかを明らかにし、小学校教員養成における家庭科教育の在り方について総合的に検討を行う。
著者
香曽我部 琢
出版者
日本保育学会
雑誌
保育学研究 (ISSN:13409808)
巻号頁・発行日
vol.50, no.2, pp.202-215, 2012-12-25

本研究では,少子化,過疎化が急激に進む地方小規模自治体における保育者の成長を,保育者アイデンティティ形成の視点から明らかにし,その特徴について検討する。そして,少子化,過疎化が急激に進む地方自治体の保育者の現職教育の在り方について新たな視座を示唆する。具体的には,熟達した保育者に対して半構造化インタビューを行い,GTAによって分析を行った。その結果,保育者アイデンティティの形成過程において,少子化によって施設の規模の差異が生じ,その差異や差異のある施設間を異動するによって,さまざまな問題や良い効果が生み出されていることが示された。そして,これらの問題に対して,保育者は,異動を繰り返し(異動サイクル),その度に新たな気づきを得て,理想とする保育実践を構想し,葛藤することを保育実践において繰り返す(実践サイクル)中で,保育所や研究会などの公的な組織ではない,保育者間の個人的なつながり(保育実践コミュニティ)を生み出し,問題に対応していることを明らかにした。そこで,本研究では,施設の規模に応じた,現職教育の研修内容や体制の在り方について例示を行った。
著者
香曽我部 琢
出版者
宮城教育大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2019-04-01

本研究では、離職が少なく、長期的に就業を継続する保育者が多い園に着目し、その園の保育実践の質も把握した上で、保育者たちがどのような関係性を築いてきたのか、そのかかわりの経験や出来事を包括的に捉え、そしてそこで生起する感情を明らかにする。とくに、仕事に対する活力や情熱などのポジティブな感情であるワーク・エンゲージメントに焦点を当て、その形成プロセスを巨視的・縦断的な視点で明らかにする。そして、その知見をもとにリーダーシップと同僚性を育む研修プログラムを開発することを目指す。
著者
香曽我部 琢 安孫子 遥 渡部 聡美
出版者
宮城教育大学情報処理センター
雑誌
宮城教育大学情報処理センター研究紀要:COMMUE = COMMUE (ISSN:18847773)
巻号頁・発行日
no.24, pp.39-44, 2017-03-31

本研究では、弁当箱の色彩が与える印象について、とくに性差に焦点をあててその差異について明らかにする。具体的には、実際に幼児が持ってくる弁当箱の色彩と形状を調査し、さらにお弁当箱の色彩が与える印象評価に関する尺度を作成し、性別、日常品の色彩の嗜好性を変数に検定を行う。その結果、弁当 箱の色彩感覚尺度として 4 因子を抽出することができた。4因子の得点に性差は見られなかったものの、現状調査の結果から赤・ピンク色の弁当箱を持ってくる女児が有意に多く、女性がピンクを好んでいることを示した。
著者
香曽我部 琢
出版者
一般社団法人 日本保育学会
雑誌
保育学研究 (ISSN:13409808)
巻号頁・発行日
vol.51, no.1, pp.117-130, 2013

本研究では,保育者が自らの転機についての語りから,転機の要因や転機における保育者の自己の変容について明らかにすることで,現代社会において保育者に求められる専門性について検討を行う。具体的には,まず,保育者の成長に関連性が強い保育者効力感を縦軸としたライフラインを記入し,それを刺激素材として保育者の転機の時期やその要因,プロセスについて半構造化インタビューを実施する。そして,そこで得た言語データをSCAT (Steps for Coding and Theorization)を用いて分析を行う。その結果,転機の要因として3つのカテゴリーと異動との関連性が示された。そして,保育者が転機をi問題認識,ii省察,iii将来の展望,iv困難な状況の発生,v他者との相互作用の活性化,vi他者との実感と展望の共有,以上6つの段階のプロセスとして認識していることが明らかとなり,他の保育者と実践コミュニティを形成し,将来の展望を共有することの重要性を示した。
著者
香曽我部 琢
出版者
宮城教育大学
雑誌
宮城教育大学紀要 = Bulletin of Miyagi University of Education (ISSN:13461621)
巻号頁・発行日
vol.50, pp.171-180, 2016-01-29

本研究では、保育者が熟達者へと成長していく過程で、自らが所属する実践コミュニティとどように相互作用してきたのか、その実相を明らかにし、保育者の成長に与える実践コミュニティの影響について総合的に検討を行う。具体的には、保育者の自己形成について、実践コミュニティがどのような影響を与えてきたのか、SCAT (Steps for Coding and Theorization)によって得られた構成概念をもとに対話的自己モデルを構成し、分析を行う。その結果、実践コミュニティの変容が、(i)保育実践コミュニティの成員性の獲得期、(ii)同じ保育所の保育士との保育実践コミュニティの活性期、(iii)他の保育所の保育土や保護者へと保育実践コミュニティの拡大期、(iv)保育実践コミュニティと保育研究会の融合、地域住民と自然環境の内含期、以上4つに時期区分できることが明らかになった。そして、保育者の実践コミュニティが、特定の仲間を軸に量的、質的な両面からの影響を受けて、自らの保育実践コミュニティにおいて組織アイデンティティを強め、さらにナレッジ・システムを構成することが示唆された。
著者
香曽我部 琢 橋本 麻美 阿部 晴佳
出版者
宮城教育大学情報処理センター
雑誌
宮城教育大学情報処理センター研究紀要 : COMMUE (ISSN:18847773)
巻号頁・発行日
no.22, pp.15-23, 2015

本研究では、保育者の壁面の色彩に関する印象評価について、SD法を用いてその心理尺度を作成し、その特徴について明らかにする。さらに、同時にPAC 分析を用いて、保育者が壁面装飾に持つ意識や認知構造について明らかにする。そして、この2つの研究結果を比較したり、関連性について検討したりすることで、保育者が自らの保育室の壁面装飾をめぐる保育者の専門性の在り方について総合的に検討を行うものである。
著者
香曽我部 琢 越後 百々奈 福田 花野 嶋貫 綾香 下地 ひかる
出版者
宮城教育大学情報処理センター
雑誌
宮城教育大学情報処理センター研究紀要 : COMMUE (ISSN:18847773)
巻号頁・発行日
no.23, pp.41-48, 2016

本研究では、教育学部に所属する学生が、大学生活の中で不安や葛藤を乗り越え、教師としての自己を形成していく過程に着目した。とくに、現在感じとっている教育実習不安だけでなく、将来、自分が教師になったときの不安について取り上げ、どのような不安を抱いているのかその時間的展望を明らかにし、その不安を推し量る心理尺度を作成する。そして、その尺度をもとに、教師を目指す学生が抱く将来の不安が現在の教師効力感、実習経験、教師志望度にどのような影響を与えるのかを明らかにし、小学校教員養成における家庭科教育の在り方について総合的に検討を行う。
著者
香曽我部 琢
出版者
日本保育学会
雑誌
保育学研究 (ISSN:13409808)
巻号頁・発行日
vol.48, no.2, pp.169-179, 2010-12-25

本研究では,まず,遊びにおいて表れる幼児の"振り向き"という行為に着目し,その"振り向き"の実態を明らかにする。次に,事例をもとに"振り向き"から相互作用へと展開する過程について明らかにすることで,遊びにおける幼児の"振り向き"の意味について分析と論証を行う。その結果,"振り向き"が主に4つの要因によって引き起こされ,3歳児が一人で行う砂遊びにおいて"振り向き"が多く表れることを明らかにした。そして,3歳児の砂遊びの事例から,"振り向き"直後の注視,双方向的な"振り向き"によって幼児同士にその後の相互作用に対する暗黙的な承認が行われることを明らかにした。さらに,その後,幼児は接近することで場を共有し,暗黙的方略で交渉したり,模倣的方略を用いたりすることで相互作用へと至る過程を明らかにした。そして,遊びで表れる幼児の"振り向き"は,その空間にいる幼児や保育者と共に遊びたいという能動的な心理の欲求によって表象されていることを示し,保育者が幼児の"振り向き"を理解することは,その幼児の理解だけでなく,その場においてどの程度の仲間意識,イメージの共有が幼児間に保たれているのか確認する一つの目安になることを示唆した。