著者
伊藤 正純
出版者
摂南大学
雑誌
摂南経済研究 (ISSN:21857423)
巻号頁・発行日
vol.3, pp.17-36, 2013-03

日本人の多くの人がもっているスウェーデンに対するイメージは、所得が"平等な国"というものであろう。だが、その"平等"は租税と社会保障による所得再分配機能によって作り出されている。それを実現するためには、所得の多寡に応じて租税負担率を重くしたり軽くしたりする応能負担原則に基づいて課税しなければならない。ところが、スウェーデンは、1991 年の税制改正で所得を勤労所得と資本所得に分け、それぞれ別々の税率で課税する二元的所得税論を導入し、その際、グローバル化した経済に対応するため、逃げ足の速い資本所得課税を軽課に、勤労所得課税を重課にする改革がおこなわれたと言われている。しかし、軽課といわれる資本課税の税率は一律30%と高い。また、資本所得に対する課税ベースが広げられていた。そのため、勤労所得課税だけでなく、資本所得課税を合わせた個人が支払う直接税全体の負担率でみても、応能負担原則に基づく課税が維持されている。日本と比べてもう一つ違う点は、租税控除項目が非常に少なく、かつ控除額が小さいことである。そのスウェーデンは「大きな政府」だが、1990 年代初めの経済危機のなか、大幅な歳出削減と小幅な税収増加を断行することによって財政再建をはたし、財政規律の確立に成功した。そしてそれ以後、財政収支は黒字基調で推移している。日本とは真逆なのである。

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CiNii 論文 -  スウェーデン 二元的所得税論のもとでの応能負担原則に基づく課税 https://t.co/FeY9oBGveA #CiNii

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