著者
松田 健
出版者
関西外国語大学・関西外国語大学短期大学部
雑誌
関西外国語大学研究論集 (ISSN:03881067)
巻号頁・発行日
no.97, pp.181-197, 2013-03

19世紀の終わりに発明された録音技術は、音楽聴取を演奏現場から解放した。しかしその後100年ほどは「自宅に設置した装置で」再生するのが基本形であり続けた。その後音楽聴取デバイスのポータブル化と個別化が進み、CDに代表される音源のデジタル化は高品位の音源を簡便に入手できる環境をもたらした。 音楽の個別聴取化とデジタル化が進行した後に生まれた「デジタル世代」の大学生たちはどのように音楽行為(Christopher Smallの言葉を借りると"musicking")をしているのだろうか。筆者は2011年に118人の大学生に探索的な質問票調査を行った。 その結果、彼らの音楽聴取は個別形態をとる傾向が強く、スピーカーよりもイヤホンで音楽聴取をする時間が長いことがわかった。音楽聴取時間のうち「ながら聴取」が占める時間がおよそ4分の3に達することもわかった。またおよそ6割の回答者がパソコンを音楽聴取デバイスとして使用している状況もわかった。

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