- 著者
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林 在圭
- 出版者
- 静岡文化芸術大学
- 雑誌
- 静岡文化芸術大学研究紀要 (ISSN:13464744)
- 巻号頁・発行日
- vol.12, pp.13-21, 2011
韓国における伝統的な儀礼は年中行事と通過儀礼に大別される。こうした年中行事や通過儀礼は人々の生活に癒しの休息と活力を与えてくれる。また年中行事や通過儀礼などの諸儀礼の過程では、特別季節料理がご馳走として調理され、四季折々の食物とともに豊穣祈願、家内幸福、厄払いなどの願いをこめて、あるいは祖先崇拝の象徴として供物が供えられる。それゆえ、儀礼食の供物は霊や神と人間との関係性における媒介の役割を果たしている。 韓国の祖先祭祀は儒教的大伝統に則って、儒教の教えを行為に表した典型的な儀礼として、祖先祭祀を行うことによって、その教えを体得することができ、それが社会的評価にもつながる。そのため、韓国人にとって祖先祭祀を祀ることが重要な生活規範になっている。 特に祭祀供物には韓国文化の歴史的経過とその特徴が反映されており、肉や魚料理をはじめ餅や果物などが供えられる。したがって祭祀供物を通して、日常の食事ではほとんど食べない肉料理や魚料理を中心とした良質の動物性蛋白質を摂取しうる機会を得ることができる。