著者
児玉 知子 冨田 奈穂子
出版者
国立保健医療科学院
雑誌
保健医療科学 (ISSN:13476459)
巻号頁・発行日
vol.60, no.2, pp.105-111, 2011-04

近年,希少性ゆえに治療や医薬品開発が進まない難病疾患領域において,国際的なネットワークを構築することで病態把握や医薬品開発を促進しようとする動きが高まっている.欧州では1999年以降,EU加盟国各国政府共同の希少疾患対策が進められており,特にオーファネットOrphanetを中心とした疾患・研究情報の一元化が注目される.米国では欧州や開発国を含めた世界市場をターゲットとした研究戦略が展開されており,今後は我が国の研究開発においても世界的な動きを視野に入れた中長期的プランが必要と考えられる.また,患者が組織化されにくい希少疾患においては,多くの希少疾患患者を統括した巨大組織が形成され,患者権利の保護や治験に係る有害事象情報公開等のあり方について,行政,医療提供者,研究者らのパートナーとして重要な役割を担いつつある.この気運により,これまで不可能とされてきた難病の本格的治療に光明がさすことが期待される.

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