著者
岡本 信司
出版者
研究・イノベーション学会
雑誌
研究技術計画 (ISSN:09147020)
巻号頁・発行日
vol.27, no.1, pp.99-114, 2013-01-31

地域科学技術政策は我が国の重要政策課題として,これまで第3期科学技術基本計画等に基づき関係府省及び地方公共団体で関連施策が推進され,2009年9月の政権交代後には新成長戦略及び第4期科学技術基本計画において,地域における国立大学法人等大学の機能強化が推進戦略の一つとして位置付けられている。このような地域科学技術政策における大学への大きな期待に対して,国立大学法人については,運営費交付金・人件費削減,大学間格差等の問題提起もなされている。本稿では,地域科学技術政策において重要な役割を担っている国立大学法人に着目して,地域科学技術関連施策の中核である産学官連携施策が開始された1980年代から国立大学法人化を経て,これまでの地域科学技術政策での国立大学に関連する施策及び機能の変遷と国立大学法人化の課題について,産学官連携をはじめとした「大学開放機能」の観点から分析することにより,地域科学技術政策における国立大学法人の機能強化に関する課題と展望について考察した。その結果,今後目指すべき産学官連携と「大学開放機能」は「グローカル対応戦略的多角機能連携型産学官連携:総合的大学開放機能新展開期」であり,強化すべき大学機能としては,地域活性化に資する産学官連携支援人材等幅広い人材育成機能,地域に密着した個性と特色ある研究機能,地域連携における戦略的中核拠点機能であるとの示唆が得られた。

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