著者
大津留 晶 宮崎 真
出版者
国立保健医療科学院
雑誌
保健医療科学 (ISSN:13476459)
巻号頁・発行日
vol.62, no.2, pp.132-137, 2013-04

福島第一原発事故による健康リスク環境汚染核種,I-131, Cs-134, Cs-137において,初期のI-131の吸入による甲状腺内部被ばくと,慢性的経口摂取のCs-134, Cs-137による内部被ばくいずれも,低いレベルで抑えられている.事故前と比べると土壌の汚染により空間線量率の高い地域はあり,これらによる推計あるいは実測された外部被ばくと内部被ばくの実効線量は合わせて1mSvを越えることはあるが,大多数でよく低減されている.チェルノブイリ原発事故と比較し,個人の被ばく線量が低く抑えられたのは,災害当初よりの食品・水の検査,出荷制限,その後の土壌改良,除染などの継続した取り組みの総合的な成果であろう.原子力災害を乗りこえて,住民のいっそうの健康の増進をめざして,地域においてより多角的で双方向性の新たな取り組みが開始されている.

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