著者
宮崎 真紀子
出版者
日本図書館研究会
雑誌
図書館界 (ISSN:00409669)
巻号頁・発行日
vol.53, no.4, pp.434-441, 2001-11-10 (Released:2017-05-24)
被引用文献数
1

日本の戦前の図書館には婦人室があった。それは義務づけられたものではなかったが設置することが望ましいとされ,女性へのサービスの一環ともみなされていた。確かにその部屋は狭く,現代の感覚からすると押し込められた,というイメージでとらえられてしまうが,当時の状況を考えると,違う姿が浮かび上がる。婦人室を中心に,女性の図書館利用,そして図書館は女性利用者をどう見たかを考察する。
著者
宮崎真奈実 荒川正幹
雑誌
第74回全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.2012, no.1, pp.539-540, 2012-03-06

テトリスを自動でプレイする人工知能プログラム(テトリスコントローラ)の開発を行った。テトリスコントローラでは、まず現在の盤面とピースから考えられるすべての盤面を生成する。次に各盤面について特徴量を計算し、評価関数を用いて盤面の評価を行う。そして最も高い評価値を持つ盤面に基づいて現在のピースの置き方を決定する。本研究では、評価関数としてニューラルネットワークを用い、その重みを遺伝的アルゴリズムによって最適化した。中間層ニューロンの数を変更し、複数回の最適化計算を行った。その結果、平均6,020万ラインの性能を持つコントローラを開発することに成功した。これは従来の結果を大きく上回る性能である。
著者
内田 直 宝田 雄大 渡邉 丈夫 宮崎 真 宝田 雄大 後藤 一成 関口 浩文 宮崎 真
出版者
早稲田大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2005

近年、国民の健康に対する関心の高まりとともに身体運動への関心も高まっている。しかしながら、このような関心は、身体的な健康が主体となっている。一方で、精神的なあるいは脳の健康も同様に重要であることは疑い。このような、精神的なあるいは脳の健康と、これに対する身体運動の効果についての研究は、いまだ十分に行われているとはいえない。本研究では、身体運動と精神活動あるいは脳活動の関連について焦点をあて、これについて健康科学的な側面から実証的な研究を行った。このような研究は、身体活動と身体の健康に関連した研究に比べると新しいものであり、今後うつ病や認知症予防のための運動療法としての活動につながるものである。研究は、以下の5つのテーマ(方法)によって行った。すなわち(1)身体運動が睡眠に及ぼす影響について、(2).睡眠中の代謝活動についての予備的研究、(3)朝行う身体運動が、その後の認知機能に及ぼす影響について、(4)身体運動と児童の発達の関連について、(5)観察学習の効果とスキルの転移、である。(1) 身体運動が睡眠に及ぼす影響については、二つの実験を行った。昼寝により人工的に作成した不眠状態への運動の影響をみたが、これは大きな影響が観察されなかった。次に睡眠直前に高強度の運動を行わせ、これが睡眠にどのような影響を及ぼすのかを観察した。これまでの研究では、ストレス反応により睡眠が悪化すると言う説があったが、我々の研究では変化無く、悪化は無かった。しかしながら、睡眠中の体温が睡眠中期で運動後運動しないときよりも有意に高いという興味深い結果が得られた。(2) はヒューマンカロリーメータを用いた睡眠中の代謝の連続測定と言う新しい分野の研究であり、今後運動後の代謝の変化など興味がもたれた。(3) 朝の運動については、日常的に行われる健康運動と似たパタンであるが、これが日中の活動にどのように影響を及ぼすのかを見た。しかしながら、結果としては一過性の効果は認められたが、一日の中での変化は無かった。このような運動を習慣的にした場合の影響が今後の課題として残った。(4) 小学生を対象とした研究のまとめが一部完成した段階である。現状では、認知機能のうち、判別と抑制の発達パタンが小学生年代では異なっている可能性が示唆された。(5) 観察学習は、運動学習の一部であるが、観察学習により獲得された手続き記憶は、必ずしも転移しないことが示唆される結果であった。全体として基礎研究と応用研究の両方から成果が得られ、身体運動が脳と心に及ぼす効果の解明と健康科学への応用についての業績がえられた。期間は終了しているが、この結果を国際論文として発表している作業を持続して行っている。
著者
川本 諒 五條堀 眞由美 柴崎 翔 松吉 佐季 鈴木 総史 平井 一孝 植田 浩章 金澤 智恵 高見澤 俊樹 宮崎 真至
出版者
特定非営利活動法人 日本歯科保存学会
雑誌
日本歯科保存学雑誌 (ISSN:03872343)
巻号頁・発行日
vol.59, no.5, pp.402-409, 2016 (Released:2016-10-31)
参考文献数
24

目的 : 歯科疾患の予防という概念の普及に伴って, 機械的歯面清掃 (PMTC) を行う機会が増加している. その際に用いられるPMTCペーストは, さまざまな製品が市販されているものの, プラーク除去効果あるいは歯質に対する影響については不明な点が多い. そこで, PMTCペーストの使用がエナメル質および歯冠修復物の表面性状とプラーク除去効果に及ぼす影響について検討した. 材料と方法 : 疑似エナメル質としてステンレス板 (SUS304), コンポジットレジン試片としてFiltek Supreme Ultra (3M ESPE), 金銀パラジウム合金試片としてキャストウェルM. C. 金12% (ジーシー) を用い, それぞれ通法に従って10×10×1mmの平板に調整したものをPMTC用試片とした. これらの試片に対し, 等速コントラアングルに歯面清掃ブラシを装着し, PMTCペースト0.1gを用い, 回転数2,000rpm, 荷重250 gfの条件で, 15秒間PMTCを行った. なお, 供試したPMTCペーストは, クリンプロクリーニングペーストPMTC用 (CP, 3M ESPE), コンクールクリーニングジェル (CJ, ウェルテック), メルサージュレギュラー (MR, 松風), メルサージュファイン (MF, 松風) およびメルサージュプラス (MP, 松風) の合計5製品とした. PMTC終了後の試片について, その表面をレーザー走査顕微鏡を用いて観察するとともに付属のソフトウェアによって表面粗さRa (μm) を求めた. また, 表面に塗布した人工プラークの残存面積 (mm2) を計測することによって, 人工プラーク除去率を算出した. 成績 : PMTC後のステンレス, コンポジットレジンおよび金銀パラジウム合金試片の表面粗さは, 用いたPMTCペーストによって異なる傾向を示した. 特に, CJ, MRおよびMFはBaselineと比較してPMTC後の表面粗さが増加し, MRはほかの製品と比較して有意に高いRa値を示した. 一方, CPにおいては, コンポジットレジンおよび金銀パラジウム合金でPMTC後の表面粗さが増加したが, ステンレス板においては変化が認められなかった. また, プラーク除去率についても使用した製品によって異なる傾向を示した. 結論 : エナメル質, コンポジットレジンおよび金銀パラジウム合金のPMTC後の表面粗さの変化ならびにプラーク除去率は, 用いたPMTCペーストによって異なるものであり, 配合されている研磨粒子の成分や粒径によるものであったことが示された.
著者
宮崎 真由
出版者
神道史学会
雑誌
神道史研究 (ISSN:05830702)
巻号頁・発行日
vol.62, no.1, pp.67-115, 2014-04
著者
兼山 達也 阪口 元伸 中島 章博 青木 事成 白ヶ澤 智生 丹羽 新平 松下 泰之 宮崎 真 吉永 卓成 木村 友美
出版者
一般社団法人 レギュラトリーサイエンス学会
雑誌
レギュラトリーサイエンス学会誌 (ISSN:21857113)
巻号頁・発行日
vol.7, no.3, pp.225-236, 2017 (Released:2017-09-30)
参考文献数
49

リアルワールドデータ (RWD) は製薬業界にとってもはや欠かせないツールである. マーケティング目的のみでなく, アンメットニーズの探索, エンドポイントの妥当性検討や患者層の特定など臨床試験のデザインや, 試験を実施する国や地域, 施設の選定や組入れ計画などの実施可能性の検討, 医療技術評価やアウトカム研究などに幅広く利用されている. サイズも大きく企業からアクセス可能なレセプトなどの医療管理データベース (DB) が主に用いられているが, その他の電子医療記録や患者レジストリなども同様に有用である. 日本製薬工業協会 (製薬協) のタスクフォースで2015年夏にデータサイエンス (DS) 部会加盟会社を対象にアンケートを実施したところ, 回答が得られた会社のうちおよそ半数ですでに社内に日本のDBを保有しているか, ウェブツールを通じてアクセス可能であった. 実際, すでに多くの研究結果が各社から, またアカデミアとの共同研究として公表されている. 若手DS担当者が産官学で話し合うDSラウンドテーブル会議でも臨床試験デザインにRWDを応用した事例が共有された. これらの事例は必ずしも論文として公表されず, 社内の意思決定に応用されるものであるので, このような機会に事例を学べることは特に貴重である. RWDの安全性評価への応用は, 来年度からDB研究がPMSのオプションの1つとなることからあらたに注目されている. しかし従来のPMSがすべての目的にかなうものではなかったのと同様にDB研究がすべてを満たせるものでもなく, 目的に応じた研究計画が必要なことはいうまでもない. ほぼ全国民をカバーするナショナルデータベース (NDB) は有益な疫学研究ツールとなり得るが, 企業の研究者は基本的に直接利用できない. 製薬協から申出に従ってある一月のデータを表形式にまとめたものが提供される予定であり, 特定の薬剤に関する結果としてのみでなく, 他のDBの外部妥当性の担保としても貴重なデータとなることが期待されている.
著者
藤倉 恵美 大内 雄太 宮崎 真理子 伊藤 貞嘉
出版者
一般社団法人 日本透析医学会
雑誌
日本透析医学会雑誌 (ISSN:13403451)
巻号頁・発行日
vol.48, no.12, pp.705-712, 2015 (Released:2015-12-22)
参考文献数
28
被引用文献数
1

わが国では終末期医療に関するガイドラインが次々と発表され, いずれも患者本人の意思決定を尊重する内容になっている. 透析患者も同様に自らの意思を尊重され穏やかな最期を過ごすことが望ましい. われわれは狭義の終末期とはいえない状況で患者本人が維持透析中止を決断した症例を想定し「維持血液透析の開始と継続に関する意思決定プロセスについての提言」に沿って意思決定を行う過程と結果を検証した. その結果, 患者がその病状や治療に関して十分に検討, 理解したうえで, ほかから強制されることなく意思決定しており, その判断に倫理的妥当性があれば, 治療中止は患者の自己決定権の行使として容認されるべきと考えた. ただし意思決定プロセスは慎重に検証されなければならず, 加えて緩和医療に関する教育やコンサルテーション体制, 事後のグリーフケアを総合的に整える必要がある. 医療者が法的に免責される保証がないことにも十分注意すべきである.
著者
宮崎 真由
出版者
大阪府立大学
雑誌
人間社会学研究集録 (ISSN:1880683X)
巻号頁・発行日
vol.1, pp.73-94, 2006-03-31

Despite the liberty of individuals, the government sometimes compels an individual to refrain from a particular act 'for his/her own good'. This is usually justified by one of the following arguments: harm to others, offense to others, legal moralism, or paternalism. Our purpose in this paper is to examine the arguments justified by paternalism and to suggest more precise criteria for invoking paternalism. We have identified two distinct types of situations where paternalistic restrictions are justified. In one case, a person is acting in a non-rational fashion, while in the other, a person is acting in a completely rational fashion. There are some stronger arguments against paternalism in the latter situation. However, we may regard paternalism as justified when a nation needs to protect or promote its basic "goods", such as health, which any reasonable individual would want to have, as Gerald Dworkin has suggested, except that some individuals clearly express their will to refuse their basic "goods". Therefore, we admit that fully rational individuals' decisions should be respected and that they should pursue their own good. However, we can allow authority's interference with an individual's choices as long as that interference is related to his/her basic "goods", such as life or health.
著者
村田 弥栄子 山本 多恵 大場 郁子 中道 崇 中山 恵輔 太田 一成 宮澤 恵実子 清元 秀泰 上野 誠司 大友 浩志 佐藤 博 伊藤 貞嘉 宮崎 真理子
出版者
一般社団法人 日本透析医学会
雑誌
日本透析医学会雑誌 (ISSN:13403451)
巻号頁・発行日
vol.45, no.4, pp.357-362, 2012-04-28 (Released:2012-05-29)
参考文献数
4
被引用文献数
1 1

2011年3月11日に発生した東日本大震災では,宮城県の広い範囲,特に東部沿岸地域は津波による市街地の流失,電気,上水の供給停止,通信の途絶など,大きな被害を受け,災害拠点病院への救急患者集中,通院手段の確保困難,生活環境の悪化が生じ,被災地外での支援透析を要した.災害支援透析において,被害が大きい依頼側に,通常の臨時透析と同レベルの情報提供を求めることは,災害支援の基本概念に沿わない.また,支援側は,業務増大の中で初診の多数の透析患者の診療を行わなければならないが,過酷な環境から避難してきた透析患者への対応は,平時とは異なる視点が必要となる.そこで,われわれは震災後に多人数の入院支援透析を行うにあたり,災害時透析入院クリニカルパスを作成し使用した.クリニカルパスの運用によって,避難患者の容態把握を共通化,標準化することが可能で,二次避難先への引継ぎにも利用した.過去に例をみない大災害であったが,このクリニカルパスの活用は災害時入院支援透析における診療に有用であったので,ここに報告する.
著者
遠山 一郎 丸山 裕美子 久冨木原 玲 中根 千絵 宮崎 真素美 山村 亜希 犬飼 隆 桐原 千文 下村 信博 山口 俊雄 福澤 将樹 高橋 亨 吉田 永弘 小谷 成子
出版者
愛知県立大学
雑誌
基盤研究(S)
巻号頁・発行日
2007

古代から近代に渡り、戦が文化・文物に影響したさまを広く研究し、中国・朝鮮との関わり、さらにヨーロッパとの比較の視点をも取り入れて、総合的な研究を実現した。2007年から2011年の5年間にわたって催した研究集会・講演会、文物の展示会、伝統芸能の実演によって約2, 200名の参加を得、学術研究を広く地域の人々とも共有するという当初の狙いを具体化した。これらの成果をもとに単行本5冊と、語りの実演にその語りの本文に索引を付けたDVD1つを刊行し、研究集会と伝統芸能の映像記録も2つのDVDに残した。
著者
加藤 邦彦 宮崎 真素美 疋田 雅昭
出版者
佛教大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2019-04-01

本研究では、「戦後詩の第二世代」と呼ばれる詩人たちの活動を支えた詩雑誌、「詩学」「現代詩」「ユリイカ」を中心に、昭和30年代の詩について研究する。戦後詩の第二世代は、批評の方面では非常に多く取り上げられているものの、研究としてはまだほとんど進んでいない。そこで、「詩壇ジャーナリズムの第一期」を形成した上記3誌に注目することで、(1)戦後詩の第二世代の特質およびその形成過程、(2)昭和30年代の詩の展開が雑誌メディアによって誘導され、かたちづくられたものであることを明らかにする。
著者
宮崎 真由美 石村 大輔
出版者
公益社団法人 東京地学協会
雑誌
地学雑誌 (ISSN:0022135X)
巻号頁・発行日
vol.127, no.6, pp.735-757, 2018-12-25 (Released:2019-01-30)
参考文献数
37
被引用文献数
5 6

Marine terraces on the northern Sanriku Coast are mapped, verifying their emergent times with a tephra analysis to provide accurate information on long-term coastal uplift along the Sanriku Coast. The results contradict the conventional view of century-long subsidence and coseismic subsidence associated with the 2011 Tohoku-oki earthquake. Eight visible tephra layers are found to cover the Taneichi surfaces reported as Marine Isotope Stage (MIS) 5 marine terraces in previous research on the northern Sanriku Coast, and these correlate with To-H, To-Of, To-G, To-Ok2, To-AP, To-CP, Toya, and ZP2 tephra layers previously identified at the Kamikita Plain based on petrographic properties. Consequently, because the Toya tephra (ca. 112-115 ka) covers marine sand and/or gravel beds composing the terraces, they are confirmed to be MIS 5e marine terraces. The paleo-shoreline of the MIS 5e marine terraces is inferred, considering topographic profiles and aeolian deposits covering terrace surfaces, and their heights are measured with high-resolution digital elevation models to be ca. 40 m above the present sea level at the Kamikita Plain and ca. 20-30 m at the northern Sanriku Coast. In addition, uplift rates from the Kamikita Plain to the northern Sanriku Coast are estimated to be 0.3 mm/yr and 0.1-0.2 mm/yr, respectively, tending to gradually decrease toward the south, and may be subject to subsidence further south along the southern Sanriku Coast.