著者
坂東 宏和 大即 洋子 大島 浩太 小野 和
出版者
日本教育メディア学会
雑誌
教育メディア研究 (ISSN:13409352)
巻号頁・発行日
vol.17, no.1, pp.37-47, 2010

本論文は,保育におけるPCネットワークを介した絵と音声によるコミュニケーションの可能性と問題点を探ることを目的とし,1つの幼稚園内に限定されたPCネットワーク環境の中で,幼児にそのコミュニケーションを体験してもらった。その様子を観察した結果,自分の描いた絵に対する返信として録音された,絵が「うまいですね」,「すごい上手です」といった音声メッセージを聞いて喜ぶ事例が見受けられた。また,年中の幼児が「お化け屋敷」という音声とともに投稿した,紙の一部を黒く塗りつぶして暗闇を表現しただけの絵に対し,年長の幼児が「お化け屋敷ならお化けを描かないと」と言いながらお化けを追記し,お化け屋敷にして返信する事例も観察された。これらの事例から,PCネットワークを介した絵と音声だけのやり取りであっても十分コミュニケーションを取ることができ,幼児に有益な新しいコミュニケーションを提供できる可能性が示唆された。

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