著者
坂東 宏和 大即 洋子 大島 浩太 小野 和
出版者
日本教育メディア学会
雑誌
教育メディア研究 (ISSN:13409352)
巻号頁・発行日
vol.17, no.1, pp.37-47, 2010

本論文は,保育におけるPCネットワークを介した絵と音声によるコミュニケーションの可能性と問題点を探ることを目的とし,1つの幼稚園内に限定されたPCネットワーク環境の中で,幼児にそのコミュニケーションを体験してもらった。その様子を観察した結果,自分の描いた絵に対する返信として録音された,絵が「うまいですね」,「すごい上手です」といった音声メッセージを聞いて喜ぶ事例が見受けられた。また,年中の幼児が「お化け屋敷」という音声とともに投稿した,紙の一部を黒く塗りつぶして暗闇を表現しただけの絵に対し,年長の幼児が「お化け屋敷ならお化けを描かないと」と言いながらお化けを追記し,お化け屋敷にして返信する事例も観察された。これらの事例から,PCネットワークを介した絵と音声だけのやり取りであっても十分コミュニケーションを取ることができ,幼児に有益な新しいコミュニケーションを提供できる可能性が示唆された。
著者
坂東 宏和 佐藤仁美輩 大即洋子 馬場 康宏 澤田 伸一 小野 和
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告コンピュータと教育(CE) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2006, no.74, pp.41-48, 2006-07-08
被引用文献数
3 1

本稿では,パーソナルコンピュータを活用することにより,幼稚園の先生方の負担軽減,および 遊びの拡張を図ることを目的とした 幼稚園における活動的な遊びを支援するツールの設計と試作について述べる.具体的に,本稿では 従来から保育に取り入れられている遊びの一つである,様々な形で提供されるヒントを基に宝物を探し出す「宝探しゲーム」を支援するツールについて述べる.試作した支援ツールを幼稚園で試用した結果 園児の意欲的な行動や発言が多く見られるとともに,先生方からも好意的な意見を得ることができ,本ツールの有用性が示唆されたと考える.同時に,園児へのヒントの与え方,宝物を隠す場所など,先生方が事前に行う設定に関して,今後検討すべき課題が明らかになった.This paper describes about the design and trial production of a tool for active playtime in preschools, which by applying a personal computer will achieve pressure reduction of preschool teachers and will aim to expand the sphere of playing activity. Tb be specific, this paper describes about the educational supporting tools of the game "treasure hunt", which provides various hints about finding the treasure, often played by the traditional nursery system. The tool produced as an experiment was tried out at a preschool. As a result, there were many motivated, initiative actions and statements from the preschoolers observed. Also we received favorable remarks from the teachers as well. This suggests the usefulness of this tool. At the same time, it was found out problems to be solved when setting beforehand by teachers, for example how to give preschoolers hints and where to hide the treasure.
著者
坂東 宏和 大即洋子 澤田 伸一
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告コンピュータと教育(CE) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2002, no.96, pp.9-16, 2002-10-18

本稿では,電子的なレポートをより容易に素早く添削できることを目的とし,タブレットと電子ペンを用いた手書き文字による添削と,音声入力を用いたテキストによる添削とを併用する,レポート添削ツールの設計と実現について述べる.手書き文字による添削は,表現力が豊かであり図なども書き加えられる利点があるが,多くの添削事項を書く場合に手が疲れる,素早く入力すると読みにくくなるといった欠点がある.逆にテキストによる添削は,多くの添削事項を素早く綺麗に入力できるが,表現力に乏しい.そこで,本ツールでは,これら両方の方法を併用することでお互いの欠点を補う.さらに,テキスト入力をキーボードではなく音声によって行うことで,手書き文字とテキストのスムーズな同時入力を可能にする.This paper will describe about the design and realization of the tool to correct papers of electrical files easily and quickly. The correction would be made in two methods; handwriting with a tablet and an electronic pen, and voice inputting of text. Handwriting method has advantages of expressiveness and availability of drawing pictures, but also has disadvantages of tiring and illegibility, as well as voice inputting method's quickness and legibility for advantages, and being expressionless for disadvantages. Therefore, the tool supposed here introduced these two methods to solve problems. This simultaneousness was made possible by voice inputting, not by keyboarding.