- 著者
-
鈴木 紀子
- 出版者
- 日本母性衛生学会
- 雑誌
- 母性衛生 (ISSN:03881512)
- 巻号頁・発行日
- vol.54, no.2, pp.335-345, 2013-07
本研究の目的は父親の育児休業取得前の思い,取得中・後の思いと行動を明らかにすることである。育児休業を取得した父親11名を対象に半構造化面接を実施した。育児休業取得前の思いでは,育児・育児休業に対する【興味・関心】や【父親でもできる育児に積極的参加】など10カテゴリーを抽出した。育児休業取得中の思いと行動のうち,「育児休業取得中の楽しかったこと」では【子どもと過ごす時間】【子どもの日々の成長・発達の確認】【育児・家事スキルの向上】【仕事ではできない経験】など9カテゴリーが抽出された。さらに「育児休業取得中の困ったこと/つらかったこと」では【不慣れな育児・家事】【子どものペースに合わせた育児】など11カテゴリーが抽出された。【同じ境遇の友人がいない】【自分が母乳を出せないこと】は男性特有の悩みであった。対象者は【子どもと過ごす時間】【子どもの日々の成長・発達の確認】を楽しかったと感じる一方,【不慣れな育児・家事】をつらかったと感じていた。これは産後の初産婦と同様の心理状態であることが示唆された。また,育児休業を取得したことで,取得後に【ワークライフバランスの調整】をすることが示唆された。