著者
荒田 龍朗 岸 和樹 山口 俊光 渡辺 哲也
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D, 情報・システム (ISSN:18804535)
巻号頁・発行日
vol.96, no.11, pp.2746-2754, 2013-11-01

漢字をその部品と位置関係で表現する「構成読み」を,JIS第1・第2水準の漢字を対象に開発した.この構成読みで漢字の形を正確に想起できることを検証するため,晴眼者と視覚障害者を対象に実験を行った.その結果,晴眼者対象の漢字書き取り実験では正答率は90%から100%となった.視覚障害者を対象とした触察部品の同定・配置実験では,26個の部品のうち22個が正答率100%で同定され,問題漢字18字のうち11字が正答率100%で配置された.これらの結果から,構成読みが漢字の想起に有効であることが示された.ただし,どちらの実験においても,3部品が上下・左右に並んだ漢字の階層構造を括弧を使って説明した際の正答率は低く,このような漢字の説明方法に課題が残された.開発した構成読みは視覚障害者の職場において漢字の確認に利用されている.

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