著者
荒田 龍朗 岸 和樹 山口 俊光 渡辺 哲也
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. WIT, 福祉情報工学 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.111, no.58, pp.1-5, 2011-05-13
参考文献数
8

漢字の形を正確に知りたいという視覚障害者の要望を受けて,漢字を言葉で伝える「構成読み」を提案した.構成読みは,漢字を構成する複数の部品とその位置関係で漢字の形を表すものである.漢字の分解ルールを定め,これに従って,JIS第1水準・第2水準の6355字の漢字を作成した.構成読みによる漢字想起の精度を調べるため,構成読みで表した漢字を書かせる実験を晴眼者を対象に行った.その結果,熟語による説明では書けなかった漢字も約90%の正答率で書くことができた.これにより,構成読みの有効性が示された.一方で正答率の低い構成読みも一部あった.その要因について検証した.
著者
荒田 龍朗 岸 和樹 山口 俊光 渡辺 哲也
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D, 情報・システム (ISSN:18804535)
巻号頁・発行日
vol.96, no.11, pp.2746-2754, 2013-11-01

漢字をその部品と位置関係で表現する「構成読み」を,JIS第1・第2水準の漢字を対象に開発した.この構成読みで漢字の形を正確に想起できることを検証するため,晴眼者と視覚障害者を対象に実験を行った.その結果,晴眼者対象の漢字書き取り実験では正答率は90%から100%となった.視覚障害者を対象とした触察部品の同定・配置実験では,26個の部品のうち22個が正答率100%で同定され,問題漢字18字のうち11字が正答率100%で配置された.これらの結果から,構成読みが漢字の想起に有効であることが示された.ただし,どちらの実験においても,3部品が上下・左右に並んだ漢字の階層構造を括弧を使って説明した際の正答率は低く,このような漢字の説明方法に課題が残された.開発した構成読みは視覚障害者の職場において漢字の確認に利用されている.