著者
李 楓
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. TL, 思考と言語 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.112, no.339, pp.53-58, 2012-12-01

語彙調査は,通例,語彙の量的な構成や使用の実態を調べるために行う.広義の日本語の語彙調査には,日本語母語話者が産出する日本語を対象とするものと,学習者向けに書かれた日本語教科書などを対象とするものが含まれる.前者は日本語学に,後者は日本語教育に資するものであるが,両者を組み合わせて分析することにより,既存の日本語教科書の語彙の妥当性を客観的観点から評価することが可能である.本研究では,中国で使用されている日本語教科書と,文学作品や新聞記事などの,広く読まれている日本語をそれぞれ収集してコーパス化し,比較を行った.量的分析の結果,一般的な日本語に比べ,中国人学習者向けの日本語教科書では,語彙の多様性が限定的で,周縁的品詞に偏っており,高頻度語の占有率が高く,内容的には,より話し言葉的であることが明らかになった.この結果は中国における日本語教科書の課題を示唆するものと言えるだろう.

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#研究事例リストに追加しました:李楓 2012 「中国人学習者向けの日本語教科書の語彙調査 ―現代日本語コーパスとの比較―」 『電子情報通信学会技術研究報告. TL, 思考と言語』 112(339): 53-58 http://t.co/7ABp9DstiO

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