- 著者
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岡島 義
井上 雄一
- 出版者
- 一般社団法人日本認知・行動療法学会
- 雑誌
- 行動療法研究 (ISSN:09106529)
- 巻号頁・発行日
- vol.36, no.3, pp.195-203, 2010-09-30
睡眠薬を長期服用中の1曼性不眠症患者12名に対して、認知行動療法(CBT-1)と、これに並行して睡眠薬の漸減を実施し、その不眠症状改善効果について検討した。1回50分のセッションを6〜8回実施し、治療前後および治療終了1カ月後のフォローアップ時に主観的な睡眠指標と自記式尺度に記載させた。その結果、睡眠指標では、入眠潜時、中途覚醒時間、総覚醒時間、睡眠効率の項目で改善が認められ、自記式尺度では、不眠症状測定尺度だけでなく、抑うつ症状尺度にも大きな治療効果が認められた。また、その効果は1カ月後も維持されていた。対象者全員が治療期間中に漸減を開始したが、服薬中止に至った者は4名(33%)であった。9名(75%)に臨床的な改善が認められ、その効果は終了1カ月後も維持していた。このことから、CBT-1は、睡眠薬を長期服用中の慢性不眠症患者に対しても有効と考えられた。