- 著者
-
高瀬 幸子
- 出版者
- 日本ソーシャルワーク学会
- 雑誌
- ソーシャルワーク学会誌 (ISSN:18843654)
- 巻号頁・発行日
- no.24, pp.1-13, 2012-06-30
本研究の目的は,事例分析によって,ストレッサーに対して積極的に対処しようとしないタイプの高齢者の特徴を描き出し,その援助についての示唆を得ることである.事例分析の理論的枠組みにはエコロジカル視点を用い,ストレッサーとコーピングの交互作用から事例を分析した.地域包括支援センターの社会福祉士が援助している22事例のうち,コーピング特性簡易尺度において,いずれのコーピングもあまりとることがないと回答した3事例に焦点をあてて分析した.その結果,実際には回避型コーピングが多用されていることが明らかになった.一方で,能動的な行動を伴うコーピングは少なく,援助においてはソーシャルワーカーの積極的なアウトリーチの必要性が示された.このタイプの高齢者への援助は,ソーシャルワーカーに対して問題解決のための相談というコーピングがとれるように働きかけていくことが有効であることが示唆された.