著者
田中 未央 厳島 行雄
出版者
法と心理学会
雑誌
法と心理 (ISSN:13468669)
巻号頁・発行日
vol.6, no.1, pp.85-94, 2007-07

不正確な目撃証言による記憶の変容は、証言者の意図が伴わずに生じる現象であり、その原因として事後情報効果などの様々な要因が明らかにされてきた。一方で、事件の加害者や容疑者が意図的に語った不正確な供述、つまり嘘の供述が後の記憶に及ぼす影響についての検討は、あまり行われていない。そこで、本研究では出来事を想起する際に嘘をついた場合、記憶がどのように変化するかを検討するために2つの実験を行った。実験1では、同じ出来事について嘘をついた後の記憶と嘘をつかなかった後の記憶を比較し、出来事を想起する際に嘘をついた場合でも出来事に関する正確な記憶が維持されること、また、嘘をつく際には2つの方略が用いられる傾向があることが示された。実験2では、嘘をつく際に採用される方略を統制し、後の記憶を比較したところ、嘘をつく際に知らないふりをする方略を用いた場合に正確な記憶が抑制されることが示された。実験1・実験2の結果から、出来事を想起する際の嘘の有無ではなく、採用される嘘の方略が正確な記憶を抑制する要因であると考えられる。また、知らないふりをすることでオリジナル(原現象)の想起が抑制されるので、オリジナル記憶のリハーサルが妨害され、正確な出来事を想起することが困難になると考えられる。

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