著者
金杉 高雄
出版者
太成学院大学
雑誌
太成学院大学紀要 (ISSN:13490966)
巻号頁・発行日
vol.16, pp.27-36, 2014-03

「毎度 ! 儲かってまっか 」,「えぇ、ぼちぼちでんなぁ」。大阪人のことばの文化, 話の本題へ入る前のこのようなあいさつの文化の背後にはその地域の人々にしか分からない伝えることばの奥深さがある。ことばを使って相手に自分の意図を伝える場合, 直接的もしくは間接的に伝える方法がある。話し手が字義通りに解釈することを聞き手に期待するのではなく, 言外の意味を読むことを聞き手に期待する間接的な表現の場合, ことばと真意との間にはギャップが生じる。間接的に自分の意図を相手に伝える場合では, 聞き手はそのことばの背後に隠された素顔の人間心理を顔の表情, 声のトーン, 身振り, 手振り等から読み取らなければならない。このような自分の意図するところを字義通りではなく間接的に相手に伝える活動は人間のみが発達させた手法である。そこでは, 時にメタファー・メトニミーのレトリックが用いられる。言外の意図を探ることを話し手が聞き手に求める人間心理の背後には話し手の置かれた状況と生まれ育った環境、経験からの背景知識が相互に関わりあっている。話し手が伝えたい真の意図を聞き手がうまく捉えられない場合に考えられることは認知主体間の主観性が大きく影響を及ぼしていることである。

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