- 著者
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鈴木 健二
武田 綾
- 出版者
- 一般社団法人 日本心身医学会
- 雑誌
- 心身医学 (ISSN:03850307)
- 巻号頁・発行日
- vol.54, no.4, pp.354-363, 2014
この研究は,先に発表した「摂食障害をもつ女性の結婚,妊娠,出産,育児についてコントロール群との比較研究」と同時に行った子どもの身体的,心理的,行動的障害についての研究報告であり,摂食障害の母親から生まれた子どもの日本で初めての本格的研究である.摂食障害の母親をもつ子ども30人と,コントロール群の子ども36人と発達上の問題を比較した.摂食障害の母親をもつ子どもは乳児期での発達の遅れが多く,3歳以降の排泄の問題をもち,被虐待経験も多くもっていた.摂食障害の母親のリスク因子との相関の分析では,妊娠中に喫煙した母親から生まれた子どもは生下時体重が低く,被虐待経験は,産後うつ病をもつ母親からが多かった.また妊娠中に激しい食行動異常をもっていた母親から生まれた子どもは脳に障害をもっていた.摂食障害が回復していない母親から生まれた子どもはハイリスクの状態にあると考えられるので,さまざまな専門家が協力して長期的なサポートを行う必要がある.