著者
高橋 昭紀
出版者
日本生態学会暫定事務局
雑誌
日本生態學會誌 (ISSN:00215007)
巻号頁・発行日
vol.64, no.1, pp.47-53, 2014-03

白亜紀/古第三紀境界(K/Pg境界; 約6,600万年前)で生じた、小惑星衝突を引き金とする大量絶滅について、動物の分類群ごとによる絶滅の選択性(絶滅したか、生き延びることができたか)の原因に関してレビューする。同境界において、陸上脊椎動物では非鳥型恐竜類と翼竜類などが絶滅して、鳥類・カメ・ワニ・トカゲ・ヘビや両生類・哺乳類などは絶滅しなかった。その選択性の原因として、(1) 衝突後数分から数時間までに、木陰や洞穴、淡水環境に逃避できたか否かという生態や生活様式の違い、(2) 生食連鎖か腐食連鎖のどちらに属するかという違い、および(3) 体サイズにより必要となる餌やエネルギー量の違い、が挙げられる。これらの複合的な生態の相違によって、大量絶滅時の選択性が左右されたのである。また、アンモナイト類は絶滅したが、オウムガイ類はK/Pg境界を超えて生き延びることができた。この運命を分けた原因は、幼生期に海洋表層でプランクトン生活を送っていたか、それとも深海で棲息していたかという棲息場所の違いである。その結果、衝突後に大量に降ったと推定されている酸性雨からの被害が大きく異なり、両者の運命を分けたと考えられる。長年、白亜紀末の絶滅の生物選択性には多くの疑問が提示されてきたが、以上で挙げたような生態学的要因によって、その多くが説明できると考えられる。

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“CiNii 論文 -  白亜紀末の大量絶滅事変における動物群の絶滅の選択性” https://t.co/566AXwRzrp
https://t.co/HJAoETO1Ld この論文。大量絶滅時に、陸上脊椎動物の明暗を分けた要因について書いてある。①隕石衝突から数時間後までに逃げ込める環境があるか②生食か腐食か③身体のサイズにより必要なエネルギー量の違い これが隕石衝突から生き残れるかどうかを左右するらしい
CiNii 論文 -  白亜紀末の大量絶滅事変における動物群の絶滅の選択性 https://t.co/hVW8lYjpvu #CiNii 私は素人なのですがこれは考えられるよね。
でも熱帯生物なので一週間続いたら体調崩すだろうとの事で https://t.co/wSus0yduaD じゃ、なぜ白亜紀末にワニは生き残ったのん?と論文検索したら、有力仮説は ・水に逃げ込んだから、隕石衝突直後の爆風・高温から逃れた ・植物激減で餌不足の中、水中の腐肉などを食べてたhttps://t.co/Hmt9YqFyNC

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