著者
横瀬 利枝子
出版者
日本生命倫理学会
雑誌
生命倫理 (ISSN:13434063)
巻号頁・発行日
vol.23, no.1, pp.54-62, 2013

本稿では、国のハンセン病患者に対する強制隔離政策が続く中、社会復帰を果たした6名の女性に聞き取り調査を行い、女性退所者特有の苦悩を検討した。その結果、誤った医療政策の影響から、多くの女性は、退所後も子どもを持てないと考えており、子どもを産んだ女性も、周囲からの羨望と嫉妬に苦しんでいた。また、関係性を解体された女性たちは、今も母親との関係回復ができず、他者との関わり方に困惑していた。さらに、女性たちは今、国から受けた艱難と、国費による安堵な生活との狭間で葛藤していた。また療養所の内外を問わず、女性たちは、女性同士の相互監視のような確執に翻弄されていた。疎外は、疎外された人々の中にも生まれている。一方、多くの女性が、夫との関係は、性差も責任も五分五分で、同じ病を経験した同志であると語った。この傾向は男性にも見られた。この意識こそが、これまで女性特有の苦悩が見え難かった所以の一つと推測される。

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