- 著者
-
田中 健夫
- 出版者
- 山梨英和大学
- 雑誌
- 山梨英和大学紀要 (ISSN:1348575X)
- 巻号頁・発行日
- vol.11, pp.8-17, 2012
本稿の目的は,いじめの加害をめぐる一連の体験が,加害生徒の自己概念にどのような影響を及ぼすかについて,中学校養護教諭に対する半構造化面接を通して検討することである。養護教諭が関与した計7事例をKJ法により整理した。その結果,指導を受けとめた反応の一方で,加害生徒が納得できずに自分の感情を表現しないまま,被害者との心身の状態悪化の共振が起こったり,自己について無価値感を抱く過程が考察された。そこでは,加害にまつわる気持ちを他者との関係性のなかで表し,閉じた関係から離れて立ち直るような場がみいだされてやっと変化が可能となっていた。そして,外から押しつけられたと感じられている罪悪感を,自ら引き受けるものへと転換させる支援について検討をおこなった。