著者
桑畑 洋一郎
出版者
日本保健医療社会学会
雑誌
保健医療社会学論集 (ISSN:13430203)
巻号頁・発行日
vol.21, no.2, pp.91-103, 2011

本論文の目的は、罹患経験を理由とした特有の医療利用実践を現在も行わざるを得ないハンセン病療養所退所者の状況を記述し、そうした実践の社会的背景と帰結を考察することにある。考察の結果、退所者は、ハンセン病療養所等特定の医療機関を選び利用するという実践を現在も行っていることが明らかとなった。また、それらの実践の背景には、<病いのスティグマ性>と<知識の配置の偏り>という退所生活における困難が存在する。退所者の医療利用実践は退所生活を続けていくために必要なものである。しかしながらこうした実践によって、退所生活における困難が維持されてしまうというジレンマも存在すると考えられる。退所生活における困難は、隔離政策をはじめとしたハンセン病者への社会的な排除が導いたものと考えられる。ハンセン病者のみに困難の解消を求めるのではなく、社会の側がこうした困難を解消する必要がある。

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ハンセン病療養所退所者の医療利用実践 : 沖縄の療養所退所者を事例として http://ci.nii.ac.jp/naid/110009841544

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